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 天野泉太郎(天野醤油社長)

輝く農林水産大臣賞

 高冷地御殿場の地の利を生かし、富士山の湧水で仕込んだ天野醤油(しょうゆ)。こだわりの味は二代目社長、天野泉太郎(昭33卒)が引き継ぐ。


日本一の醤油を手にする天野泉太郎さん

 日本一おいしい醤油を決める全国醤油品評会。今年三月の第二十七回大会で「アマノ甘露しょうゆ」が農林水産大臣賞に輝いた。

 天野は、添加物や防腐剤などの薬品を一切使用しない。原料の大豆と小麦に、米こうじを加えて甘味を出す。一年間仕込んだものを原料に混ぜて再び仕込む。二回仕込みの製法のため、出荷まで二年半ほどかかる。

 三島市内の醤油醸造会社で修業した父、福太郎が「儲(もう)けはなくても食べていける程度でいい。消費者に喜ばれる醤油を造ろう」と昭和十二年に創業。天野は醤油の仕込みに心血を注ぐ父や職人たちを間近に見て育った。

こだわりの味引き継ぐ  

 「伝統のある会社や大手に負けないものを造ろうと努力する姿勢が大事」と天野。品評会などのひのき舞台に積極的に出品し、醤油の味を問う。その成果は食糧庁長官賞、食品流通局長賞、県知事賞となり、数多くの賞状が並ぶ。

 家業を継ぐために入学した御高商業科は部活動に入らず、授業が終わると真っすぐに帰宅して配達などを手伝った。学業と家業を両立させる忙しい日々だったが、「いろいろな科に友人ができた。毎日登校して仲間に会うのが楽しみだった」。授業で商業簿記・工業簿記などをたたき込まれ、会社の経理の基礎が身に付いた。

 「簿記の優秀さで周りの商業高を抑えていたし、都会の大手一流企業に就職する人も多かった。先生や先輩たちが築いてくれた実績のおかげですね」と、母校を誇りに思う。

 都内の有名料理店やホテルなどでも使用される「こだわりのしょうゆ」は口コミで広まり、北海道から九州まで全国から注文が入る。県東部地区の学校給食に利用され、県内にも愛好者が多い。年間の出荷量は約百八十キロリットル(一千石)。需要が多くて量が足りないくらいだが、現在使用している地下水以上の水を探すのが難しく、現状維持を貫く。

 天野の下では、農大で最新の醸造技術を学んだ長男栄太郎が働く。「伝統の醸造学と最新の技術で、代々受け継いでいきたい」。醤油造りにかける男の目が輝いた。

(文中敬称略)

 【注】カッコ内は卒業年。


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