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農業(水かけ菜)

販路拡大へ試食や新商品

 渋味、辛味、甘味の絶妙なバランスとしゃきしゃきとした歯ごたえが特徴の水かけ菜は、「早春の味」「富士山ろくの自然食」などと呼ばれる北駿地方の特産品だ。明治中ごろに導入され、青い野菜が減る冬季の貴重な栄養源として栽培されてきた。最近では郵便局のふるさと小包などで全国に宅配され、ファンを増やしている。

 御殿場小山水かけ菜生産組合は昭和六十年、水かけ菜を地域の特産品にしようと有志六十六戸で結成した。組合長の高田久夫(昭20卒)をはじめ池谷泰(昭17卒)、勝又浩(昭27卒)らが属し、効率的な生産と取り組んでいる。収穫期を控え、高田は「今年の水かけ菜漬けの出荷予定は四十五トン。無事収穫して完売したい」と意欲を見せる。


水かけ菜の成長の様子を見る高田さん=御殿場市塚原
 水かけ菜は水稲の裏作。冬場の水田に畝を作り、富士山の湧(ゆう)水を流して栽培する。寒さで病虫害の心配はないので農薬は要らず、水かけ菜自体が肥料になるので米作りにもいい。収穫はトウ(花茎)の部分を一本一本手で摘み、その日のうちに荒塩で漬ける。組合で統一した塩加減で三昼夜漬け込んだ菜を各戸で真空パックにし、共同出荷している。

 水かけ菜はトウを摘むことからトウ菜、水菜などとも呼ばれる。田んぼなどに水を引くことを地方の言葉で「かける」と言うことから、清らかなわき水のイメージを生かした「水かけ菜」の商品名がついた。

  富士山の恵みが育てる

 平成九年は一月初旬から中旬にかけて三度の大雪に見舞われた。一メートルほど積もった雪が凍り付き、トウを折ったり、押しつぶした。最終的な出荷量は見込みの半分以下。組合では種をまく時期をずらす、雪除けの覆いをする、積雪時は小まめに雪下ろしをする―などの対策を打ち出した。

 販路拡大のため行政、農家、民間が一体になり、水かけ菜を使った料理の試食会を開き、収穫を体験してもらう「水かけ菜オーナー制度」を設けている。粉末を入れたそばやようかん、フリーズドライ加工した茶漬けなどの商品開発も盛んだ。

 御殿場市で夫と食品会社を営む大胡田敏江(昭52卒、旧姓勝又)は一昨年、「水菜まん」を考案した。刻んだ水かけ菜や豚ひき肉、タケノコなどを具にした手作り、無添加の中華まんじゅうだ。農協の直売店やゴルフ場、サービスエリアなどで販売し、好評だった。続いて「水菜焼売(しゅうまい)」も売り出した大胡田は、「新しい御殿場名物になって、多くの人に水かけ菜を味わってもらえれば」と期待する。

 農閑期の貴重な収入源だが、厳しい寒さの中での労働は敬遠されがち。高田は「若者たちが取り組みやすいよう、共同作業や機械の導入などで負担を軽減しなければ」と将来を見据える。

(文中敬称略)
 【注】カッコ内は卒業年。

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