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劇団四季の俳優高井治=東京都練馬区、昭55卒=が、ミュージカル「オペラ座の怪人」で、醜い顔に劣等感を抱く「怪人」役を好演している。豊かな声量に切なさがこもった歌声は、圧倒的な迫力で劇場を覆う。 「自分の存在に注目してほしい。地味な自分だから、舞台で派手に振る舞いたい」。観客の視線が一挙手一投足を射抜く舞台上で、高井は堂々と“仮面”を脱ぐことができる。 浜松市の出身。小中学生のころ、鼓笛隊と吹奏楽部に入り、打楽器やピアノを演奏した。 「歌はうまいとは思わなかったが、やっていれば音楽の道につながると思った」。小学校の恩師の紹介もあり、高校から始められる声楽専攻で、信愛学園高(現浜松学芸高)音楽科に進んだ。 バンドを組んで文化祭に出演し、浜松交響楽団に「潜り込んで」打楽器を鳴らした日々。先輩と日が暮れるまでLPを聴いた。「口下手で内気だったけど、その分心の中に持っているものが広がった」。音楽への探求心は強まるばかり。 その一方、級友と自分を見比べて、将来に不安を覚えることもあった。「信愛が少人数教育で良かった。大人数だったら圧倒されて、自分の居場所はなかったと思う」と打ち明ける。 東京芸術大大学院を修了し、二期会に籍を置いた。平成十一年に劇団四季のオーディションに合格、翌年四月に「キャッツ」で初舞台を踏んだ。 「オペラとは観客数が違う。心を込めてやらないと伝わらない」。配役になりきるまで、試行錯誤を繰り返しながら演技や歌を磨いた。 現在、京都劇場で一年二カ月間にわたるロングラン公演中。二百回近く「怪人」を演じるが、「今日が一番良い舞台になるよう、毎日が千秋楽の気分で演じている」。 力の源は、青年期に培った音楽への思い。 「自分が(音楽を)好きだということは、ほかにも好きな人が大勢いるということ。共有し、分かち合えることが喜びなんです」
(文中敬称略、題字は書道コース1期生石塚智沙子さん)
(木、金曜日に掲載します)
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