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「何にも縛られず、自由にやった。ここまでさせてくれる高校って、ほかにはない。今考えても勢いあったなあ」 自画像、モチーフ、鉛筆デッサン。授業で美術のイロハを学びながら、自宅でも創作の手を休めない。自転車のスタンドに空きビンをくくりつけ、極彩色のコラージュを施して「ああ、格好いい」とうっとり。 美術館や画集で巨匠の作品に触れ、「これどうやってるんだ?」と感動しつつ、手法をどんどんまねして自分の表現手法に加えた。級友や先輩は良きライバル。「友人の成長をすごいなあと眺めながら、メラメラと燃えていた」と振り返る。 伸び盛りの創造力を支えたのは、担任の山内真由美や油絵教諭の千葉広一ら。受験美術とその他を分けて指導し、面白いものは面白いと認めた。「先生と会話をする中で、やる気が生まれた」と感謝する。 東京芸大美術学部で油絵を専攻。周囲の技術に圧倒され、落ち込んで絵を描けなくなった時期もあった。踏んばれたのは「絵のほかに、自分には何もない」との気持ちがあったから。 「世の中で、絵はそれほど役立つものではない。作家になっても売れるのはごく一部の人。でも、単純にやりたいからやっている。夢中で続けられるものがないのは、寂しいので」 日本版画協会展の入賞は意外だった。「特に力を入れたわけでもないのに、何で取れたんだろうと不思議に思った」という。作品がどう評価されるかは分からない。心から納得できる傑作をものした経験もない。「だから、自分がいいなと感じる作品を一つでも作りたいんです」。 来年三月、大学院修士課程を修了する。将来の進路は「言わないでおこう」と笑う。どんな未来図が描かれるのか、当の本人にも未知数だ。
(文中敬称略)
(木、金曜日に掲載します)
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