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ベニヤ板を切り抜いてキャンバスを作り、下地の布を張り付け、絵の具を塗る。作業は授業の合間を縫い、三年生の教室で行った。「作品が仕上がる過程を生徒にも見せたかった。教師も皆と同じ目線で、同じ美術をやっているんだということを感じてほしくて」。 作品下部の格子模様や光沢を含んだ色使いが彩りを加える。「自分には無い手法。生徒の作品から引用させてもらった」という。教師もまた、教え子の創造力に触発され、作家としての腕前を磨いている。 油絵、彫刻、日本画など講師陣八人の作品六十点が並んだ展示会。花、昆虫、田園風景など自然の造形美を活写した作品が多く、会場内の空気は総じて瑞々しい。今明の同僚瀬下雄高と松本雄介は「高校生の躍動感、若々しさに刺激を受けた結果」と口をそろえる。 同作品展は二度目の開催で歴史は浅いが、音楽科教員の演奏会「信愛コンティヌオ」は昭和六十一年から十一回を数える恒例行事。電子音楽科教員の演奏会も三回開かれた。 校長中村誠は「高校の教員は指導者であると同時に表現者でなければならない。実力がなければ教えられないし、生徒や市民の目にさらされることで日々の緊張感が生まれる。生徒の中にも敬意を払う気持ちと、表現者同士の一体感が芽生えるはず」と狙いを打ち明ける。 受験の節目もあり、生徒の創造力は高校時代にピークを迎える。「研ぎ澄まされた大胆な着想と感性は、つい計算して絵を描いてしまう自分を戒めてくれる」。十四年間、油絵の指導を続けてきた今明が無数の生徒と結んだ“競作関係”は、作家としての新鮮さを維持する触媒としても働いた。 「今回の作品はぼくらしい表現になっている。このまま絵を書きためれば個展を開けるかもしれない」。高校生にも引けを取らない若々しい笑顔がこぼれた。
(文中敬称略)
(次回は3月20日からです)
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