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「一年で最大の行事。お客さんに聞いてもらう以上は、思い切り自分を表現したい」と鈴木智士(三年)は言う。定期演奏会が始まったのは昭和五十七年。器楽の独奏や合奏、三十分のオペラ、合唱の三部構成が基調で、全生徒が必ず出演する。 手作りの舞台だからこそ、演奏に気迫が宿り、多くのアイデアが投入される。オペラの振り付けを担当した大嶋昌代=平15卒=は「皆が踊りやすく、見ていて楽しいものを考えた」。合唱をまとめた原亜沙美=同=は、気持ちが一つになる高揚感を口にした。「一緒に頑張っていると、笑えてくるし涙も出てくる」。 電子音楽科は平成元年から定期演奏会を開いてきた。色鮮やかな照明の下、時に合唱や打楽器、舞踏を交えながら交響曲や創作曲を演奏する。二週間かけて行う集中練習もまた、多くの思い出を刻む慣習だ。「一人ひとりが全力。すべては感動を巻き起こすため」。加藤大=平14卒=はてらいもなく振り返る。 吹奏楽コースの演奏会は例年三月に行うため、進級・卒業を祝うステージとなる。「特に三年は演奏に気持ちが乗る。鳥肌が立つ感じ」と堀川枝里=平15卒=。終幕後の舞台上で、下級生が卒業生に花束を贈る習いも生まれた。十回を数えた美術造形科作品展も、三年間の集大成を披露する場として定着している。 昨年の音楽科演奏会。生徒が内証で用意した演出がもう一つあった。演奏の終盤、合唱団が突然掲げた「捷治先生ありがとう」のプラカード。三十年余の合唱講師生活に終止符を打つ岩崎捷治へのはなむけだった。 「合唱には譲り合いや思いやりなど、人間として大事な要素が含まれる」(岩崎)。年一回の発表会がもたらす恩恵は、音楽や美術の技術向上にとどまらないようだ。
(文中敬称略)
(木、金曜日に掲載します)
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