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東館四階の合奏室。全学年生徒が扇状に構え、かなめの塚本を囲む。六月のコンクールに向け合奏練習が始まった。「皆で合わせて出来る音楽が好き」と野長瀬香奈(二年)。緊張と期待が入り交じった、柔らかな空気が室内に染み込む。 音合わせから行進曲の練習へ。数小節ずつ細切れに演奏しながら、音の調和を図る。「目で譜読みして、頭の中で音程を取れ」。タクトを振りつつ塚本が指導する。「その音を正確に鳴らして。できるだけ明快に」。 学芸サウンドのもう一つの秘密は、演奏技術に欠かせない基礎理論の習得。編曲法や音楽史、ピアノの音を楽譜に書き取る「聴音」、楽譜から音を起こす「視唱」などを学ぶ。小山恵莉(三年)は「勉強したら、周りの人の音も聞き取れるようになった」とはにかむ。 個人レッスンや自主練習を通じて自分の音を作り、各楽器パートごとに音を整え、合奏に至る。中村篤史(三年)は「自分の音に責任感を覚える」と言う。全体の足並みを乱さないため、個々の努力は不可欠だ。 「ふぅ」。合奏を小休止するたび、ため息や笑みが漏れた。「トランペットを使って、自分の意思を伝えたい」(三年、河合詳子)。楽器の音色はもう一つの“言葉”。その出来不出来に、生徒は一喜一憂する。 同コース科長生田暢久が目標とするのは、「豊かな人間性」と音楽の基礎教育に根差した「高品位な」吹奏楽。「人の心に響く音」を求める塚本は、「集団生活で養われる社会性」を重視する。 合奏練習の終盤、曲調が劇的に変化する難曲に手を焼き、失敗が相次いだ。「鳴りそうで鳴らない音がもどかしいね」。生徒たちは吹き出すように笑いながら、隣同士で原因を話し合った。 音楽を学ぶ人と人とのハーモニーが、合奏室を温かく包み込む。「ずっと音楽を好きでいたい。今まで教えてもらったことは忘れない」(三年、土屋実智瑠)。
(文中敬称略)
(木、金曜日に掲載します)
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