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終章「学芸の未来へ」
電子音楽科
(2003年5月8日掲載)
IT時代の音楽家を養成

ネット回線を通じて音楽交流を進める電子音楽科=浜松市下池川町の浜松学芸高
 第五電オル室に一台のパソコンが設置された。モニターの頭に小型カメラが乗り、左右にスピーカーを構える。画面は六つの小窓に分割し、デジタル処理された人物の画像がぎこちなく揺れる。ヘッドセットを付けた加藤慶太=平15卒=が「よろしくお願いします」と呼び掛けると、画面の人物たちが一斉に頭を下げる。三月六日、ネット回線による五次元中継の交流授業が始まった。

 電子音楽科を卒業し、米国ボストンのバークリー音楽大で学ぶ木村英寛=平14卒=が大写しになった。「バークリーには最新の音楽機材がそろっています」。案内しながら、ハンディカメラで構内の様子を追ってみせる。

 静大の管弦楽団と国立音大の岡田幸子さん=同=は各自の演奏会の映像を流した。「きれい」。画面の前でじっと見守る十四人の生徒。講師の高橋由美子が「ステージでの衣装や振る舞いに注目して」と助言する。

 いよいよ学芸高の出演順に。森永智美(二年)が静岡国体の入場曲を演奏し、マイクを介して各端末に送信した。森永は「聴く人が近くにいないので不思議な感じ」と目を見張る。

 同高と共同研究を進める吉原太郎山梨大講師は「アイ・ビジットを使った生演奏の交信は国内初だと思います」と、初の通信授業を締めくくった。

 アイ・ビジットは米国の企業がテレビ会議用に開発したソフト。これを卒業生や大学との音楽交流に応用した。ネットで結ぶ演奏会や合奏、作曲編曲、演奏論評など可能性は広がる。

 電子音楽科は平成十三年ごろから、情報通信機器を活用した授業に力を入れている。当初はパソコンによる作曲を学び、次いでホームページでの創作曲発表につながった。一柳友希(三年)は「学外の人と知り合えるし、反響が即時に寄せられる」と興味を深める。

 産学・高大連携も航路に見据え、同科の授業計画は進境著しい。高橋は「新しい分野との触れ合いを切り開く道具にしたい」と強調。作曲家を目指す岩達佐代子(同)は「この先、自分にすごくかかわってくる技術だと思う」とうなずく。

 波打つ画面の向こうで、電子オルガンに向き合う若者の姿。IT時代の音楽家の姿が見え隠れしている。

(文中敬称略)
(木、金曜日に掲載します)


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