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就職難、デフレ経済、株価は日ごとにバブル後最安値を更新する。夢を持ちにくい時代。「世の中の不安はあっても、就職できる人はできる。自分を見詰め、自分に何が足りないかを見極める判断力や行動力が備わっていれば」。大卒の看板が未来を約束する傾向は弱まりつつある。大石は着実に冷静に、自らの足もとを見据えている。 習熟度別、文理系別の少人数教育で有名大進学者を輩出してきた特進Cなど、各進学コースは専門科目の学習効率を高め、学力を育てる方針を貫いてきた。今度は「学習の動機付け」に比重が移る。進路指導の一形態として新たに取り組む「フューチャー・ナビ」はその試金石だ。 指揮を執る国語教諭の橋本伸一郎は言う。「現在の学校教育で一番おざなりになっているのはコスト意識。将来進みたい分野にどんな労働市場があり、需要があり、経済環境があるのか。終身雇用が崩れる中で、戦略を持って社会に出ていける人を育てていきたい」 昨年度までは小論指導の中で政治、経済、社会の分析を含めた学習の視座を与えてきたが、本年度から著名人の講話や職場訪問、ネットによる実社会との接触などを並行して進める。特進Cは調査活動を背景に討論会やゼミ学習を行う。 振り出しに今年四月、浜松出身の落語家春風亭鯉昇を招いた。「『こんなもの関係ない』って、勉強なんかろくにしなかった。でも社会に出ると全部つながってるんだって気が付くんですよ」。人情の機微に満ちた体験談に、四百五十人の生徒が耳を傾けた。 何のために学ぶのか。「授業で勉強することは知っておいた方が良いことだと思う」。特進C三年の小林尚子が私見を連ねる。「今は受験科目として使っているのでつまらなく感じることもあるけれど、大人になった時にきっと面白く感じる。自分と切り離せない知識があると思うから」
(文中敬称略)
(木、金曜日に掲載します)
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