序 章 女性教育に先鞭

校訓に「誠・愛・節」


4月に落成した研修施設「誠玲館」。式典への来場者を在校生の琴の音が出迎えた=浜松市広沢1丁目、浜松市立高校
守られるバラ

 浜松市広沢一丁目、浜松市立高(増田勝利校長)。浜松城公園から鹿谷の坂を上り切ると、白亜の校舎が目に飛び込んでくる。隣接する市立西部公民館前の「イ」の記念碑。テレビ発祥の地、旧浜松高等工業学校跡地であることを後世に伝えている。

 正門までの道は、ナニワイバラの生け垣が続く。毎年、春には純白で大きな花を咲かせる。生け垣は、昭和二十二年の移転前からあり、七十年以上も大切に守られてきた。平成五年の校舎全面改築では、バラを絶やさないために一時、他の場所に移植したこともあった。

 生徒数は各学年十学級ずつの千二百十九人。四万四千平方メートルの敷地に五階建て校舎、講堂、体育館、プールなど恵まれた教育環境を設備している。多様化する女子の進路に合わせたきめ細やかな教科選択や四十五分授業の実践などに成果を挙げ、大学などへの進学者のほとんどが現役生という進学校だ。

施設「誠玲館」

 正門を入り、左側の木立に囲まれた一画に新しい二階建て建物が完成した。研修施設「誠玲館」。八百八平方メートルの広さで、研修室や宿泊室をはじめ茶華道に適した和室を備えている。周囲の日本庭園「ひくま野」が眺められ、落ち着いた雰囲気に包まれた。

 名称は生徒から募集し、尾崎加奈子(三年)の案が選ばれた。校訓の「誠・愛・節」から一字をとり、音がさえてさわやかな様を表す玲を加え、「誠のある美しい心を持った女性に」という願いを込めた。「誠玲館」は四十年間にわたって在校生や卒業生に親しまれた同窓会館を取り壊して建設した。

強い仲間意識

 かつて、校門を出入りする生徒は必ず学校に向かって頭を下げた。竹田君枝同窓会長(52)=19回、三方原町=は「教え込まれたわけではないが、自然と礼儀を身に着けた。”いちりつ生”は仲間意識が強い。先輩が後輩をやさしく包んでくれるような雰囲気がある」と話す。

 四月二日の落成式典で増田校長は「質の高いモラリティや礼儀作法を身に付け、まっすぐでおおらかに生きる女性になってくれますように」と述べた。増田の言葉は校訓の「誠・愛・節」とともに、一世紀にわたる市立高の女子教育の底流に流れる気風を代弁していた。

 明治、大正、昭和、平成と常に女子教育の先鞭(せんべん)をつけ、新しい時代の女性を送り出して一世紀が経過した。ナニワイバラの咲く道を通った乙女たちの歴史を振り返る。

(文中敬称略)

(水、木、金曜日に掲載します)


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