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第4章「あゆみ・発展期」

初の女性生徒会長誕生
昭和62年卒の生徒会役員ら(右端が岩渕さん)=卒業アルバムから
 「千江ならいけるんじゃないの?」「面白いよ」―。後期生徒会選挙を控えた昭和六十年の秋、25HR(ホームルーム)の教室は、候補者選びで盛り上がっていた。真っ先に名前が上がったのは岩渕千江(昭62卒、旧姓大内、富塚)。生徒会長は男子の聖域、という時代だった。

 「珍しいから話題にもなるし、なんて言いながら、推薦しようという話になった」とクラスメートでテニス部仲間だった五十川直子(昭62卒、鴨江)。岩渕もその気になる。「お調子者でしたから。当選するはずはないしまあいいや、と受けました」と当時の心境を語る。

 五十川と、クラスでも中心的な存在だった柴田顕(昭62卒、大阪府)も応援の熱弁を振るったが、担任だった藤田博行(48)=現湖東高教諭=は、「何より本人が落ち着いて、堂々としていた」と記憶する。

 「彼女の明るくてチャーミングな人柄を、一番にPRしようと思った」と五十川が語る通り、物おじせず、男子生徒とも気さくに接する岩渕は誰からも好かれた。藤田は「今と違って、男子生徒と女子生徒の間にもっと距離のあったころ。双方の橋渡しをしてくれていた」と思い起こす。

 岩渕はクラスごとに推薦を受けた他の八人と選挙を争い、西高初の女性生徒会長となる。戦後の教育改革に伴い昭和二十四年に男女共学になってから、三十六年目のことだった。

 女子生徒はまだ全体の四分の一程度の“マイノリティ”。岩渕は入学すると、女子生徒として初めて柔道部に入部した一年先輩の山下啓子(昭61卒、笠井)に続いて同部に所属、一年時から注目された。のちにバルセロナ五輪で銀メダリストとなる溝口紀子(平2卒、静岡市)は、岩渕が卒業した年に入部している。

 「生徒会活動は、行事の時に前に立ってあいさつしたくらい」と岩渕はけんそんするが、笑顔でそつなく仕事をこなし、生徒会のトップとして存在感を示した。

 女子生徒の活躍に先鞭(せんべん)を付けた岩渕は、現在一児の母。「やりたいと思うことを、何でも自由にやらせてもらった」と伸び伸びと過ごした西高時代を振り返る。岩渕に続いて平成十二年には、二年の後期に安達えみ(3年)が史上二人目の女性生徒会長を務めた。

(文中敬称略、題字は古橋広之進さん=昭和20年卒=)
(火―木曜日に掲載します)

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