<40>

第4章「あゆみ・発展期」

理数分野を教育の礎に
大学教授を招いた実習は好評。超電導の実験で、回る磁石に驚きの声を上げる生徒ら=平成13年11月13日、浜松市西伊場の浜松西高
 「理数科運営のノウハウを生かし、中等部の段階から、理数分野を重視した選択科目を充実させていく」。昨年十月十九日、東京・国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれた文部科学省主催の中高一貫教育推進研究協議会。全国から参加した教育関係者ら約三百五十人を前に、西高教頭の宗田隆夫(51)は、新設中等部の特色の一つをこう説明した。

 西高理数科は、河合九平(昭21卒、坪井)校長時代の昭和六十一年、「ものづくりの都市浜松に貢献する人材育成」を掲げて出発した。県内では既に、磐田南や清水東、韮山などが成果を上げていたが、初代の理数科主任大場駿二(61)=現磐田東高講師=は「一般的に理数科イコール特進コース、という色合いが強かった。西高では、理数科目に秀でた子の能力を最大限に伸ばすという、本来の理数科を実現したいと考えた」と当初の理念を話す。

 一学年一クラスの身軽さを生かし、独自の取り組みは多い。二年次には半年をかけて、グループ別の課題研究を実施。静大工学部や名古屋大の教授などを招いた講義実習や、大学・研究施設の訪問も定例だ。

 有数の進学校であるだけに、自由な研究活動を重んじてきた半面、受験への対応に悩まされる場面もあった。

 二代目主任の西田正夫(53)=現城南高教頭=は「じっくり実験に取り組み、思考、洞察力を育てることと、受験勉強は必ずしも両立しない。点数を取るための技術的なことも、ある程度教えていくように考えた」と現場の腐心を話す。

 現在、音響メーカー大手のパイオニアで生産技術に携わる一期生の中村守孝(平元卒、埼玉県)は早い時期から目的意識を持てたことは、自分にはプラスだった」と語る。航空自衛隊パイロットの水野匡昭(平元卒、沖縄県)ら技術、研究職に就く同期は多い。

 「課題研究で黄金比を研究し、建築分野に関心を持った」という斉藤良裕(2年)や「遺伝子研究に興味がある」と語る水嶋陽一(2年)ら在学生も意欲おう盛だ。

 理数科は中高一貫教育の実施に伴う学校改革で、三年後には閉科となる。創設時から理数科にかかわってきた物理教諭の宮崎貞夫(45)は「自ら考える力を養う課題研究の手法などは、新しい中高一貫教育に生きるはず」と、理数科の歴史が、新生西高の礎となることを期待する。

(文中敬称略、題字は古橋広之進さん=昭和20年卒=)
(火―木曜日に掲載します)

浜松市立高百年 掛中・掛西百年史 榛原高校百年 引佐高の百年

沼津東高百年 富士宮農高百年 御殿場高 躍進の百年 田方農高の百年

静岡新聞へ