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第6章「独創に生きる」

笑いの最前線突っ走る
「好きなことは徹底的にやるべき」と語る斉木しげるさん=静岡市登呂の静岡新聞放送会館
 「あの娘をペットにしたくって、ニッサンするのはパッカード…」。小林旭の「自動車ショー歌」を歌いつつ、舞台上手から登場する斉木しげる(昭43卒、本名斉藤滋樹、東京都)。赤い車のはりぼてから首をのぞかせ、ゆっくりと進んでくる。ぴたりと止まり「夢の自動車タケオです。十二気筒、無公害エンジン、人力」。

 昨年のコントライブの一幕。登場しただけで笑いが起こるのは、ひょうひょうとしたキャラクターのなせる技か。大竹まこと、きたろうと「シティボーイズ」を結成したのは、二十九歳のころ。以来二十年以上、お笑いの最前線を突っ走る。

 三人はテレビでもおなじみだが、真骨頂は年一回のコントライブ。今年も四月末から「パパ・センプリチータ」と題して東京、名古屋、大阪の三カ所で二十五公演を予定し、チケットは即日完売の人気ぶり。

 「小学校の学芸会でカモメの水兵さんを踊って以来、僕の人生はずっと舞台」。西高時代は、坂の上の古い茶室を根城に演劇ざんまいの日々を送る。落語家の春風亭鯉昇(昭46卒、東京都)は演劇部の後輩だ。

 早大ではアングラ芝居に熱中し、中退して俳優小劇場養成所へ。役者を決意した時には、堅物の警察官だった父親の反対は必至、と覚悟した。「でもそうじゃなかった。それが後で聞いたら、若いころ家出して、旅芸人の一座に入ったことがあるそうで。血は争えないな、と笑った」

 二十代の下積み時代には、あらゆるバイトをこなす。「空き瓶集めは十二時間拘束されて、たった千五百円。この重労働にこの対価というのは、一体誰が決めたのか、と妙に社会性に目覚めたりした」。

 好きだと思うことを突き詰めてきた。「人間、そんなに器用じゃないから、何もかもできる訳がない。くだらないことでも一つを徹底的にやった方が、いいとこまで行ける」

 アドリブのようなせりふも、実は筋書き通り。「僕らほど練習してコントをやるユニットはおそらくない。けいこで練りに練るのが僕らのやり方です」と自負を見せる。

 パチンコ、SF、漫画。サブカルチャーに明るい。「少年ジャンプは創刊号から読んでます」。ドラマや映画出演のほか、テレビ東京の「今夜も千両箱」などレギュラー番組も抱え多忙。SBSラジオの「カフェ・ド・男爵」も人気番組だ。

(文中敬称略、題字は古橋広之進さん=昭和20年卒=)
(火―木曜日に掲載します)

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