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「新しい忍者像を書きたかった」。頭にあったイメージは、ジャック・ヒギンズやアリステア・マクリーンに代表される米英の冒険小説。「グリーンベレーとか、デルタフォースの世界ですね。その道のプロ、みたいな魅力を出したいと思った」 「時代小説は本来、膨大な資料集めが必要ですが、忍者物は基本的な時代考証を押さえれば、あとは想像力勝負。資料と格闘するより、空想を膨らませるほうが好きなので、自分には合っていたのかもしれません」 法政大学時代から、純文学やSFなどの新人賞に何度も挑戦。卒業後は生協に勤めながら、年に二、三作のペースで書き続けたが、デビューの壁は厚かった。 「応募してはだめ、応募してはだめ。ただ、結果が出るころには次作を書いているから、ショックを受けた覚えはありません。いつも今度のは傑作だと言い聞かせて」。下積みが長かった分、受賞の喜びは格別だ。 時を同じくして、朝日ソノラマ文庫からも新作の出版が決まった。こちらは本名で書いたジュニア小説。“コギャル忍者”の破天荒な活躍を描く。 出版時期が重なり、突然多忙に。しばらくは通勤の満員電車で校正をしたりする生活だったが、今年二月、仕事をやめて本格的な執筆活動に入った。両作品ともシリーズ化し、固定ファンの獲得を狙う。 徳川家康の暗殺計画をテーマにした、同じく忍者物の「大駿府急襲(仮)」(学研M文庫)も発売間近。本格的な歴史物や伝奇にも挑戦したい、と力がこもる。 西高時代、夏休みの課題で私小説風に書いた作文がうけ、授業で何度も紹介された記憶がある。「思えばあれで、自分には才能があると勘違いしたのかも」と笑う。
(文中敬称略、題字は古橋広之進さん=昭和20年卒=)
(火―木曜日に掲載します)
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