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第6章「独創に生きる」

忍者小説に新境地開く
念願のデビューを果たし、「本格的な歴史小説や伝奇小説にも挑戦していきたい」と語る沢田直大さん=神奈川県大和市
 戦国の覇権をめぐる忍者たちの死闘を描いた時代小説「伊賀暗闘録 黄金の忍者」(学研M文庫)で昨年十二月にデビューした沢田黒蔵こと沢田直大(昭51卒、大和市)は、小説分野のOBの新鋭。織田信長の攻撃で壊滅状態になった伊賀の生き残りを主人公に据え、スピード感あふれる物語展開と、魅力的な人物描写で第七回歴史群像大賞優秀賞を受賞、初版一万六千部はほぼ完売した。

 「新しい忍者像を書きたかった」。頭にあったイメージは、ジャック・ヒギンズやアリステア・マクリーンに代表される米英の冒険小説。「グリーンベレーとか、デルタフォースの世界ですね。その道のプロ、みたいな魅力を出したいと思った」

 「時代小説は本来、膨大な資料集めが必要ですが、忍者物は基本的な時代考証を押さえれば、あとは想像力勝負。資料と格闘するより、空想を膨らませるほうが好きなので、自分には合っていたのかもしれません」

 法政大学時代から、純文学やSFなどの新人賞に何度も挑戦。卒業後は生協に勤めながら、年に二、三作のペースで書き続けたが、デビューの壁は厚かった。

 「応募してはだめ、応募してはだめ。ただ、結果が出るころには次作を書いているから、ショックを受けた覚えはありません。いつも今度のは傑作だと言い聞かせて」。下積みが長かった分、受賞の喜びは格別だ。

 時を同じくして、朝日ソノラマ文庫からも新作の出版が決まった。こちらは本名で書いたジュニア小説。“コギャル忍者”の破天荒な活躍を描く。

 出版時期が重なり、突然多忙に。しばらくは通勤の満員電車で校正をしたりする生活だったが、今年二月、仕事をやめて本格的な執筆活動に入った。両作品ともシリーズ化し、固定ファンの獲得を狙う。  徳川家康の暗殺計画をテーマにした、同じく忍者物の「大駿府急襲(仮)」(学研M文庫)も発売間近。本格的な歴史物や伝奇にも挑戦したい、と力がこもる。

 西高時代、夏休みの課題で私小説風に書いた作文がうけ、授業で何度も紹介された記憶がある。「思えばあれで、自分には才能があると勘違いしたのかも」と笑う。

 

(文中敬称略、題字は古橋広之進さん=昭和20年卒=)
(火―木曜日に掲載します)

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