(2004年8月25日掲載)
 来春へ新チーム始動 (平成16年)
受け継がれる伝統野球

<20完>

 甲子園出場を目指す現役の球児たち
 ことし七月二十五日。県大会4回戦、浜商は古豪静岡商の前に0―3で敗れ、創部八十周年のメモリアルイヤーを終えた。

 点数差こそ接戦を感じさせるが、内容は完敗と評されても仕方ない。相手主戦の杉山に対して打線は散発3安打と完全に沈黙。9三振に加え、七回まで得点圏に走者を進められなかった。

 「大会中も成長しながら野球をやれていると実感できた。でも負けたのは悔しい」。主将の池端邦仁は試合後、ぎゅっと唇をかみ、共にチームを支えてきたエースナンバーの田中善也、捕手牧野克哉、左目の失明を克服した天野貴司らと高校野球から卒業した。

 最近、「浜商野球には迷いがある」と耳にすることがある。静商との一戦でも初回、天野が出塁したが犠打ミスと盗塁失敗が重なり、勢いに乗り損ねた。一回戦の農業経営戦は延長の末、劇的なサヨナラ勝ちを収めたが「決勝や甲子園の舞台で見せるのが本来の姿」。

 これら厳しい指摘をするのはほかでもない、野球部を見続け、浜商野球を愛してやまないOBの面々だ。野球部の人材発掘に長年、貢献してきた飯田健一郎(昭34卒)もその一人。「派手さはないが堅実なプレースタイルで、相手のミスにも乗じて勝ちを収める」。突き詰めれば、「強い相手に強い」のが伝統的な浜商野球の最大の魅力なのだと力がこもる。

 浜商野球部は新主将に桜井潤也、副主将に栗原雄樹山田大介を据え、新チームで動き始めた。

 「目指す野球は」と三人に同じ質問を投げ掛けた。

 「機動力」「バント」「粘り」。図らずも、伝統の浜商野球を語る上で欠かせないキーワードが聞かれた。これまでに培ってきた豊富な練習やOBたちとの交流の中で、浜商野球には何が大切で何が必要かを既に肌で感じている。「あとはとことん練習して試合で出していくだけ」(桜井)。

 OBやファンは浜商野球の復活を願ってこれからも、温かくも厳しくナインを見守り続ける。甲子園出場回数計十七、栄光の全国制覇一回の肩書はずしりと重いが、伝統ある野球部に身を置く者の自覚として、今日もナインは夢に向かって白球を追う。

(文中敬称略)

(題字は沼倉昇校長)