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「地元の人たちにこそ新鮮な作物を食べてもらいたいんです」。富士宮市外神でイチゴやラッカセイなどを栽培する佐野光司(昭43卒)は三年前、「有限会社いちごやさん」を設立、生産地直売に力を注ぐ。 イチゴ温室のわきや市街地に自動販売機十二台を設置しているほか、自宅近くに店舗を持つ。今では九割方が直売による収入だ。
渡辺文章(昭59卒)は約五千平方メートルの温室で洋ランを育てる傍ら、富士市松岡に直売のフラワーショップ「渡辺洋ラン」を開く。パフィオペディラム、シンビジウム、オンシジウムなどさまざまな品種が並び、店内には甘美な香りが広がる。店内で開くフラワーアレンジメント教室も近隣住民に人気だ。生徒は多いときで八十人。十代から五十代までと幅広く、宮農の在校生も通う。 教室の指導や、ブライダル用の装花の仕事にてんてこ舞いだが、栽培には一番こだわる。「花は話せないだけに、どんな環境が最も良いのかを常に考えてあげなければ。良い花を多く付けなければ商売も成り立たない」と渡辺。時間を見つけては温室に出向き、日射量や温度、湿度や水管理に気を配る。「完全な答えはない」と言いながらも、その難しさを楽しんでいるように見える。 中三のとき、就農を決意し、宮農から県立農林短大へ進んだ。入学当初はイチゴ専攻だったが、「父が趣味で洋ランを栽培していたし、花はさまざまな売り方が出来る」と花に転向、洋ラン栽培に乗り出した。卒業後は広島県の洋ラン苗店で二年間、栽培技術を研修し、帰郷。実家のイチゴ温室を洋ランへと変えた。 村瀬長生(昭31卒)はキクとメロンの栽培で富士地区のリーダー的存在。富士市柳島の温室で、春の彼岸に合わせて一輪菊を、お中元の時期に合わせてマスクメロンを栽培する。さっぱりとした甘さが特徴のマスクメロンは周囲の企業や近隣の人たちの贈答用に重宝がられ、すべて予約制で直送販売される。キクは流通量の少ない赤系の菊を中心に出荷する。 努力家で、宮農時代は県学校農業クラブ連盟副会長を務め、数多くの優秀な研究成果を発表した。村瀬は「農高に通っていることに自信を持ち、胸を張って歩いていってほしい」と後輩にエールを送る。 (文中敬称略) 【注】カッコ内は卒業年。 |
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