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酪農家の冬は厳しい。搾乳は早朝から始まり、腰などの痛みを訴える人も多い。水が衣服に染み込み、時間と共に体がいてつく。卒業生の酪農家らは、年間を通してもっとも辛い冬期に使いやすい作業着づくりを、生活クラブに依頼した。
顧問の家庭科教諭石井巳をはじめ、畜産、食品加工、土木の各教諭らにアドバイスを受けた。被服による温度変化や細菌の増殖率、強度などについて実験を重ね、数値的データを補助着づくりに生かした。
この五十三年は静岡市で学校農業クラブ全国大会が開かれた。生活クラブは労作の「酪農家の作業着の研究その三 冬期の搾乳時の補助着について」で出場する。 プロジェクト発表のテクニックも学んだ。石井紀らは「かなり練習を積んだので、本番は全く緊張せずに予定通り進んだ」と落ち着き払っていた。優勝の知らせを石井は「受賞よりも先生たちの褒め言葉や高い評価が何よりうれしかった」と受けとめた。研究努力が優勝という大きな成果となって表れたことで得た達成感に浸った。 学校農業クラブ会長を務めた渡辺明夫(昭53卒)は、卵の味と共に昭和五十二年の関東ブロック大会を思い出す。この年九月、大会は富士市で開かれ、事務局に選ばれた宮農が運営を担当。役員は三カ月前からほぼ毎日学校に泊まり込んで作業にあたった。夜中に腹が減るがコンビニもなかった時代、唯一の差し入れだった一ケース分の卵を皆で飽きるまで食べ続けた。「もううんざり」の卵漬けの大会準備だった。 次の年に静岡市で開かれる全国大会へのテストとも位置付けられていた。他県の参加者も満足する大成功で大会を終えた。渡辺は「常に新しいことを学びながら全校生徒を引っ張ったことで、社会に出ても生かせるような良い経験ができた」と振り返る。 (文中敬称略) 【注】カッコ内は卒業年。 |
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