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 「名物あれこれ」(1) 農産物販売

市民に人気の実習作物

 農業高校は実習などでさまざまな作物を栽培し、学校祭で販売するほか、市場にも出荷する。生徒たちの〃作品〃は手ごろな値段と新鮮で安心して食べられることから人気を呼ぶ。「今年はいつ販売するの」と問い合わせも多い。

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水耕栽培トマトは、5―7月と11―2月の年2回収穫し、学校祭などで販売する=富士宮農高
 昭和六十年代の人気商品は園芸科の水耕(養液)栽培のトマト。先駆者の一人、影山信義(昭27卒)のアドバイスを受けて校内に水耕栽培用の施設を整備した。成長の度合いに応じて水中の養分を調節したトマトは、農薬や化学肥料を使わず商品価値が高い。土を使わないため連作障害も防ぐことができる。最盛期には一日六十箱(約二十五個詰め)もの収穫があり、箱詰め作業に追われた。

 平成に入ってからは三尺バナナ。十五センチほどの小さな実だがナチュラルな甘さが評判を呼び、「宮農バナナ」の名で親しまれている。栽培を始めたのは平成十年。「珍しい作物で生徒に興味を持たせよう」と導入した。

 熱帯産で寒さに弱いバナナは温室と水量豊かで一定の水温が保てる水で育てた。一年後には一房当たり約百本の実を付け、軌道に乗った。近年は三尺バナナよりさらに小型のスーパーモンキーバナナにも挑戦し、現在はバイオ技術を生かして増殖を図っている。

 食品流通科の「農高みそ」略して〃のうみそ〃は学校創設当時から。昔ながらの仕込みで半年から一年をかけて天然醸造させたみそは「大豆の香りが豊かで味わい深い」と評判だ。配合も醸造方法も伝統を変えず、手づくりで昔からの味を守っている。食品流通科教諭桜井康は「みそ作りを通して、生産、微生物学、加工、流通などすべての行程を学ぶことができる」と強調する。

 イチゴの粒をそのまま残した自然素材の「イチゴジャム」も人気がある。実習では、年間を通して夏ミカン、ブドウ、リンゴなどさまざまな果物を使ったジャムを作るが、イチゴジャムは五月から七月に掛けて作る。

 食べごろのイチゴと上白糖、とろみ付けにペクチンやクエン酸を調節し、大がまで加熱する。寒天や水あめなどはいっさい使用しない。とろみが付いたころに取り出すゼリーポイントを見極めるのが難しく、水中に落としたり糖度や温度で判断するなど工夫を凝らす。煮沸した熱い瓶に熱いジャムを詰めるため、保存のための脱気や殺菌の必要がない。手作りのラベル「宮農イチゴジャム」をはって完成だ。

 校内販売が行われるのは十月の学校祭。大勢の市民が詰め掛け、人気商品は一、二時間で売り切れとなる。

(文中敬称略)

【注】カッコ内は卒業年。


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