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第1部 歩み

独立図書館

視察団もため息もらす

独立図書館で定期的に開かれたレコードコンサート=「学校図書館の設備と設計」から
 昭和二十八年に建てられた独立図書館は、香貫時代の東高生が全国に誇る文化施設だった。絶え間なく訪れる見学者が、まず目を奪われたのは淡緑色の近代的な外観。開架式の本棚に十進分類法で図書が整然と並ぶ様子は、ため息を誘った。視聴覚教室では定期的にレコードコンサートが開かれ、クラシック音楽を楽しむ地域の人の姿もあった。わずか十五年間だったが、ハード、ソフト両面で最高の環境を備えた。

 図書館教育を重視した沼中は、空襲に備えて裾野や御殿場の生徒に約四千冊の本を持ち帰らせていた。終戦後、“疎開先”から本を集めて元海軍工廠(しょう)仮校舎に図書施設を設置。昭和二十三年の校舎復興と同時に、本館二階に図書館を設けた。蔵書数や図書分類の先見性などが認められ、昭和二十五年には全国学校図書館協会がモデル・ライブラリーに指定。独立図書館建設への弾みとなった。

 独立図書館は鉄筋コンクリート二階建てで、鈴木重治(大6卒、故人)が設計した。一階は閲覧室、二階は視聴覚教室や和室を備え、スライドを使った授業や映画上映などに利用された。

 校舎内の図書館時代から環境整備にあたったのが館長の教員志賀福太郎(昭4卒)。志賀は米国の図書館を訪れ、絵画の貸し出しや美術館としての役割も果たす懐の深さに衝撃を受けた。「訪れた人が文化に接する場所にしたい」と視聴覚教室の音響効果や閲覧室の室内装飾にもこだわった。

 東高生は頻繁に図書館を利用し、貸出本は一日平均八十冊を超えた。図書委員の川口泰弘(昭30卒)は「娯楽の少ない時代、文化の薫りを運ぶ図書館にかかわれることが誇らしかった」と話す。

 図書館と並ぶ文化の“殿堂”が香陵会館。二十四年、講堂兼体育館として建てられ、文化的な活動にも使えるように演劇用の舞台装置も備えた。

 当時、沼津市内には大きな公共施設がなかったため、校内はもちろん校外の団体も使用した。NHKのラジオ番組「のど自慢」の公開録音や藤原歌劇団、小牧バレエ団などの公演も行われ、市民から文化施設として親しまれた。

(文中敬称略)
【注】カッコ内は卒業年。

掛中・掛西百年史 榛原高校百年 富士宮農高百年 御殿場高 躍進の百年

引佐高の百年 田方農高の百年

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