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第6部 切り開く

運 輸

地域密着の企業を目指す
「観光客が求め、必要としている商品を企画したい」という芹沢社長=三島市大場の伊豆箱根鉄道本社
 昭和三十三年九月二十六日夜、伊豆地方を襲った狩野川台風。前年入社したばかりの伊豆箱根鉄道社長の芹沢暉二(昭27卒)は台風情報を気にしながら駿豆線の伊豆仁田駅で警戒に当たっていた。みるみるうちに水が押し寄せ、家や人が流されてきた。線路も仁田―修善寺間が流され、水につかりながら必死に本社へ戻った。「あんな恐ろしい経験は初めてだった」。あまりにも大きな被害に、「駿豆線の復旧は四、五年かかる」と言われたが、大量の作業員を投入した西武鉄道の応援で十日後に復旧させる。「本社に泊まり込み、復旧作業員のための炊き出しや、各駅に孤立した社員への食料、水の補給などに奔走した」と当時を振り返る。

 芹沢の実家は熱海の新聞販売店。午前三時に起床し、新聞を配達した後、沼中・沼東に通った。当時、店には二十四、五人の従業員がいた。「人の使い方を学ぼう」と大学卒業後、労働争議のない西武百貨店への就職を考えたが、熱海在住の大場金太郎元伊豆箱根鉄道社長に誘われ、同社に入社した。切符切りから始めた鉄道部で十七年過ごし、グループ会社のボウリング場やタクシー会社、バス営業所なども経験。今は同社をはじめグループ八社の社長を務める。

 鉄道、船舶、バス、タクシー事業を持ち、ホテルや観光施設を運営する同社は伊豆、箱根地区の観光の盛衰がそのまま会社経営に影響する。「観光不況と言われているが、周りには素晴らしい観光資源がある。観光客が何を求め、必要としているかを見極めた商品企画が不可欠。そのために社員には感性を磨けと言っている」。吉本興業のプロデュースによる伊豆・三津シーパラダイスの「お笑いアシカショー」は入場者三割増に結びつけた。健康志向で人気のあるウオーキングもJRなどと提携して積極的に取り組む。「地域と協力して、地域全体を活性化させることが我が社の発展につながる」。サービス業としての自覚を持たせるため社員教育にも力を入れる。

 同社には香陵会もあり、取締役不動産部長の望月正誼(昭35卒)、取締役船舶部長の青木孚(昭36卒)、グループ会社伊豆箱根トラベル常務取締役の松下光雄(昭33卒)らがいる。

 このほか運輸業界では大富運輸社長の大木理久夫(昭36卒)や静興運輸社長の戸田馨(昭8卒)ら。大木は沼津観光協会長、戸田は清水香陵会長を務める。

(文中敬称略)
【注】カッコ内は卒業年。

掛中・掛西百年史 榛原高校百年 富士宮農高百年 御殿場高 躍進の百年

引佐高の百年 田方農高の百年

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