<70>

第6部 切り開く

製造・トーヨーアサノ

社員が誇り持つ企業に
「企業経営もチームワークが大切」と話す植松社長=沼津市原のトーヨーアサノ本社
 平成九年三月、コンクリートパイルメーカー・トーヨーアサノ社長の植松真(昭45卒)は父親から引き継いだ東洋パイルヒューム管製作所と東扇アサノポールの合併を成し遂げた。販路は関東から中部、関西、山陽・山陰、四国まで広がり関東地区のトップに躍り出た。「スケールメリットによる経営強化もあったが、社員の子供が『お父さんの会社に入りたい』というような企業、社員が誇りを持てるような会社にしたかった」と振り返る。

 植松は大学卒業後、TBS(東京放送)に入社。記者や営業などを経験した。「マスコミ希望ではなかったが、当時、テレビ局に入るのは難しく、記念で受験したらたまたま採用された。入社十二年目で仕事がおもしろくなってきた時に父親が体調を崩し、地元に戻ってきた」という。TBS時代に労組委員長を務め、その時の経験が社員側に立った経営に結びついている。

 老朽化した本社を建て替えたいと思ったが、父親から「事務所を建て替えても利益は生まれない」と言われた。「建物の姿ではなく、会社は中身だということを知らされた。使えるものはなるべく使い、節約分を製品開発や社員へ還元しろということです。会社経営は一株当たりの利益率を高め、社員の給与を上げることに尽きます」。地下鉄や地下溝などトンネル工事のセグメント技術にも定評があり、最近では東京湾横断道路(アクアライン)や都営地下鉄大江戸線などの大プロジェクトにも参加した。

 コンクリートパイルの効率的生産を図るため、沼津工場を需要量で優位に立つ東京工場に集約。来年夏には沼津工場跡地にホームセンターのカインズホームを誘致し、不動産賃貸事業にも進出する。

 趣味は世界レベルと言われるヨット。先輩から「海はいいぞ。それにヨットマンは女性にもてる」と言われ、大学の外洋帆走部に入部。アルバイトをしながら相模湾で練習に励んだ。平成八年のギリシャの世界選手権では銀メダルに輝き、今でも世界のヨット仲間と交流を続ける。「ヨットレースは艇の整備をはじめチームワークが重要。クルーが一丸となって厳しい自然環境に打ち勝ち、良い成績を上げたときの喜びは会社経営と合い通じるところがあります」。

 同社には沼津工場長の鈴木茂(昭40卒)、元取締役で子会社東洋鉄工常務取締役の浅田重直(昭38卒)らがいる。

(文中敬称略)
【注】カッコ内は卒業年。

掛中・掛西百年史 榛原高校百年 富士宮農高百年 御殿場高 躍進の百年

引佐高の百年 田方農高の百年

静岡新聞へ