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昭和五十八年に退職し、自宅を囲む五十アールの田畑と向き合った杉田は次第に悩むようになった。「小規模農家には基準が厳しい市場への出荷はメリットが少なく、収入につながらない」。浮き沈みの激しい市場価格に左右されず、効率よく販売する方法はないか―。模索の中で始めた自家野菜の庭先販売に生き残りをかけた。 オープンは平成三年の夏。強い日差しを避けるパラソルの下で新鮮野菜を広げた。当初は品数が少なく初日の売り上げはわずか三千円。親戚農家を誘い、量を確保したことで消費者の評価が広がった。「今は消費者の目も高い。目指すのは納得してもらえる野菜作り」と杉田。有機栽培を心掛け、作物の手入れに余念がない。四年前から町立清水西小の家庭教育学級の講師を務め、児童や親たちに土に触れる楽しさを教えている。 鈴木格(昭32卒)=長泉町下長窪=が自宅前で行う生鮮野菜の直売はことしで八年目。近所の主婦やドライバーらの根強い人気を集める。「市場への出荷とは別に、作ったものを手間をかけずに提供したい」と当時の無人販売ブームに歩調を合わせて開設した。みずみずしい朝採り野菜が評判を呼び、始めてすぐに近所の消費者らが飛び付いた。 夏場は朝七、八時からキャベツなど野菜を並べ、品切れになると車で二、三分ほど離れた畑に飛んで行き、野菜を継ぎ足した。「直売は思った価格で販売できるのが強み。作れば作っただけ反応があり面白かった時代もあった」と懐かしむ。 関東で働いていた長男の肇さんが十年ほど前に「農業をやりたい」と帰郷した。心強い後継者を支えに、家族経営で近郊野菜農家の道を突き進む。 (文中敬称略) 【注】カッコ内は卒業年。 |
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