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 第3章 農業に生きる 

サボテン

海外行脚で新種を発掘
 空気中の水分を吸収して生育するエアープランツ。代表格の「チランジア」は、約十年前に“土がいらない植物”のキャッチフレーズで店頭に並び、爆発的な人気を集めた。火付け役は、サボテンなど多肉植物の栽培・輸入を手掛ける「カクタス長田」代表、長田清一(昭40卒)=沼津市宮前町=。大量輸入を展開してヒットにつなげた。

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栽培温室でサボテンに囲まれる長田さん。トレードマークのひげは海外放浪時代から=沼津市
 「ブームを先読みした訳ではない。自分の好きな中南米で飽きるくらい見てきた」とあっさり。東京農大に進学して世界観を広げた長田は、卒業後メキシコやアルゼンチンなど中南米各国を二年に渡り放浪した。見渡す限りの砂漠。ゴツゴツした岩山。そこで遭遇した野生サボテンの数々に体を震わせ、その他の新奇な植物を目に焼き付けてきたのが財産だ。

 長田がサボテンにほれ込んだのは中学生の時。トゲを蓄えたたくましい姿に強烈な印象を覚え、小遣いを投資しては収集に夢中になった。「将来サボテン店を経営したい」と沼農へ志高く進学。学業の傍ら三島などの専門店に入り浸り、栽培ノウハウや商品としての見方を身に着けた。自家温室に収集、栽培したサボテンは当時五百種類を超し、「近所でシャボテン小僧と呼ばれたほど」。一部を市場へ持ち込んだり、興農祭では展示即売を経験するなど「学生にして商売の面白さを知った」。

 本格的な事業立ち上げは二十代の半ば。県内の生産者と共に参加した輸出業務を経て経営基盤を整え、自園の規模拡大を進めた。現在は国内向けに年間約三十万―四十万鉢を生産出荷するほか、欧州や北南米、アジアを駆け巡り、新品種の輸入などに取り組む。エアープランツをはじめ、食虫植物やアロエベラ、復活草など新分野の開拓では先駆者的存在として知られる。

 「動かなければ何も始まらない」が長田の持論。学生時代に独学で習得した英語とスペイン語を巧みに操り、海外での情報交換や交渉に積極的に動く。約四千六百平方メートルの栽培温室には、サボテンやその他の植物など数百種類が一挙に集い、異国情緒が満載だ。

 長田は「サボテンは形や花など実に多種多様でユニーク。魅力が尽きない」と語り、笑顔でこう付け加える。「気持ちが悪くて、奇妙な格好ほどとりこになる。サボテン愛好者には変わり者が多いんですよ」。

(文中敬称略)

【注】カッコ内は卒業年。


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