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「リスクはあるがトルコギキョウをやってみたい」。十五年前、夏ギク栽培に取り組んでいた杉山安男(昭41卒)=沼津市井出=は台湾などの安価な外国産ギクの直撃に頭を抱えた。仲間は次々と電照に切り替え、焦る日々が続く。模索の中、当時まだ市場で人気が低く、近在に栽培者が無かったトルコギキョウと出合う。自分の直感に頼った。
トルコギキョウの栽培に余念がない杉山さん |
繊細で温度管理が難しい性質がら、栽培は一筋縄ではいかなかった。身近に頼れる農家が無く、行き詰まった杉山は妻と二人の幼い娘を連れ、榛原町の専門農家を幾度も訪問して回った。「ノウハウは教えないと断られたが、めげずに通った」と杉山。試行錯誤を重ねて土壌に合った栽培法を見いだし、「種類や本数を増やすほどに面白くなった」と振り返る。バブルがはじける前は、高値で売れ続けた。
田中さんと丹精した懸がい菊 |
現在は千五百平方メートルの温室で紫やピンク、白色の八重、覆輪タイプなど約二十種類を栽培する。年間六万本の出荷量を目指し、約八割は東京向けだ。色合いの美しさや気品から結婚式のブーケなどに好まれる。「毎年出てくる新種への挑戦も刺激的だが、基本は安定した出荷を目指すこと」と経営は堅実。市内では一人で開拓してきたトルコギキョウ栽培も現在は仲間四人が加わり心強い。七月上旬まで約九カ月続く出荷はそろそろ大詰めを迎える。
昨年十一月上旬、田中孝之(昭28卒)=沼津市島郷=が懸崖(がい)菊で造形した迫力ある“ダイヤモンド富士”が、国道414号沿いの自宅ベランダを飾った。会心の作に、田中のほおが思わず緩んだ。市菊花祭では懸崖部門で県知事賞の腕前。「審査日に満開を迎えるように、日照時間の調整には特に気を遣う」と田中。独自の工夫で毎年ひときわ優雅な作品を生み出している。
キク栽培を始めたのは、市消防本部に務めていた八年前。「定年後の生きがい対策に」と参加した市の園芸講座で、香り良く気品漂うキクの魅力に引き込まれた。自家農場で栽培する小ギクは三十六種類。秋には色とりどりのキクで満開になる田中の自宅は、県内外のドライバーや通行者から熱い視線が注がれる。
(文中敬称略) 【注】カッコ内は卒業年。
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