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 第3章 農業に生きる 

畜 産

全国最優秀に歓喜の声
 平成十二年度の全国肉用牛枝肉共励会。地元銘柄「あしたか牛」の生産農家の一人、井出伸之(昭35卒)=長泉町上長窪=はF1種(ホルスタインとの雑種和牛)部門で最優秀賞を受賞した。朝早く審査会場の東京食肉市場へ足を運び、出荷肉につけられた受賞を知らせる金縁の張り紙に、「やった!」と歓喜の声を張り上げた。

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平成12年度の全国肉用牛枝肉共励会で最優秀賞を受賞した井出さん=長泉町
 井出が出品した枝肉は、重量五百十二キロの抜群のつやと張りをみせる上質肉で、格付けは最高ランクの「A5」がついた。井出の牛舎で手掛ける三百頭のうち約半数が和牛。「血統や特性を踏まえて肥育し、与える飼料配合には特に気を配った」と受賞の秘けつを明かす。

 就農したころは親から引き継いだ酪農に奮闘し、「繊細な乳牛の管理と毎日の搾乳の忙しさには閉口した」と井出。一方で出産シーンに感動するなど充実感もあった。十年後に出荷の乳質基準が厳しくなり、多大な設備投資を余儀なくされたうえ、「誕生する子牛が十一頭連続して雄だった」ことが肉牛経営へ転換を図るきっかけになった。F1種に取り組み始めた昭和五十年代から徐々に規模拡大を図り、こだわりの肉質を求めて地道な努力を続けてきた。

 地元で育てた“安全、安心、高品質”の肉牛として販売展開する「あしたか牛」生産は五年目の取り組み。同じ町内の加藤勲(昭31卒)、酪農と複合経営する加藤治吉(昭32卒)ら八農家と関係機関で「あしたか牛推進協議会」を結成し、ブランド化を押し進めている。

 「PR活動も軌道に乗り、次第に知名度が上昇してきた」と井出。BSE(牛海綿状脳症)の影響で肉牛業界の現状は厳しいが、「消費回復を信じて乗り切りたい」と全国的なブランド牛に育てる夢を膨らませる。

 養豚で活躍するのは現在母豚百三十頭を育て、市内でも大規模に一貫経営を進める石塚武(昭15卒)、文一(昭40卒)=沼津市岡一色=親子。高校卒業後に一年半、母校で助手を努めた文一は実家に戻り、養豚経営に活路を見いだした。代々の野菜農家から方向転換し、試行錯誤の中で身に着けた確かな肥育技術で安定出荷を実現した。デンマークで研修を積んでこのほど帰国した長男の力を支えに、「将来を見据えてさらに規模拡大を図りたい」と意欲的だ。

 若手生産者では酪農の内田辰美(昭51卒)と古地豊(昭55卒)らがいる。同級生の中で農業従事者は希少だが、互いに研さんを積む日々が続く。

(文中敬称略)

【注】カッコ内は卒業年。


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