<38>

 第3章 農業に生きる 

農  協(2)

産地づくりを積極推進
 地域農業の指導的役割を担う農協。東部地域の各農協で活躍する現役やOBが二十一世紀の農業づくりにまい進する。

 JA三島函南専務理事の杉本潔(昭21卒)は「地域ならではの新しい特産物を生み出すのが目標」と夢を語る。管内の主要作物はトマトやイチゴ。その生産促進に力を注ぐ一方で、本年度は新規事業としてジャガイモの出荷拡大を狙いに大型選果機を買い替えた。光センサーによって従来よりきめ細かな等階級の分類が可能になるのが選果機の特徴で、杉本は「生産農家の省力化につながる」と期待を寄せる。今月中に機械を本格稼働させ、予冷庫を活用した計画出荷を推進する。

 杉本は沼農卒後、箱根西ろくで実家の野菜農家を継いだ。ダイコンやニンジンなどの野菜栽培に奔走し、昭和五十九年から旧三島農協で理事、常務を経験。平成五年の函南農協との合併を経て翌年から専務に就任した。地域活動にも熱心で保護司を二十八年間務めている。学生時代は戦争と共に過ごした。「終戦前に経験した北海道の援農では、朝早くから乳搾りや生育作業に没頭して忍耐力だけはつきました」と目を細める。

 沼津茶と西浦ミカンの二大看板をはじめ、野菜や花き栽培なども盛んなJAなんすん。営農の指揮をとる常務理事の鈴木敏博(昭30卒)は、行政などと連携して「西浦みかん産地育成プラン策定委員会」を発足させた。「五年後へ向けた高品質ミカンの安定供給が狙い。今以上に産地の強化を図りたい」と意気盛ん。園地の基盤整備や省力化に合わせて寿太郎ミカンの増産を図り、日本一の産地づくりを進めるのが将来的な目標だ。

 二十代始めから十年間、県の農業改良普及員を務めた鈴木は「農業には張り合いや可能性が満ちあふれていた。新しい農業技術の開発を模索し続けた」と食料増産の時代を振り返る。現場での経験はその後、県庁や県東部の出先機関の農業行政で生かした。

 常務として四年目。昨年から本店と金岡地区で始めた産直市を「地産地消を進めることが地域農業の活性化と生産力の向上につながる」と後押しする。沼農時代は測量部で活躍し、農業コンクールの全国大会にも出場した。

 後藤勇(昭18卒)、土屋昭(昭28卒)、吉沢忠慶(同)、斉藤直(昭29卒)、鈴木是勝(同)、青木正(昭30卒)、加藤国夫(同)、小野与(昭31卒)、鈴木清作(同)、工藤儀一(昭36卒)らはJAなんすんの現理事。営業部長の加藤英昭(昭42卒)と経済部長の土屋未幸(昭45卒)が現役で活躍する。

(文中敬称略)

【注】カッコ内は卒業年。


静岡新聞へ