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沼農時代は激しさを増す戦局の中で過ごした。中でも思い出深いのが北海道網走への援農。広大な農地を馬で耕す光景に感化された井坂は、「将来はこのような大規模農業に従事したい」とブラジルへ飛び立つことを夢見る。しかし時代が許さず、学校にも諭されて地元に残ることを決意したという。 昭和二十一年に三島市役所に就職。「秘書課に在籍した時に、市の条例集の作成を手掛けたことで行政の重要性とやりがいを知った」。その後も三島の工業団地計画の策定やし尿処理場の改築など、住民生活と密接にかかわる仕事に情熱を注ぎ、市民、総務、企画調整部長を経て五十六年から収入役、助役を二期ずつ務めた。現在は豊富な経験を生かし、市職員時代から大切にしてきた「誠実、実行」をモットーに福祉の道にまい進する。 清水町を流れ、“東洋一”の湧(ゆう)水で知られる柿田川。ほとりに居を構える古泉栄一(昭21卒)は、湧水をはじめ貴重な自然を保全推進する「柿田川湧水保全の会」会長。「自分の少年時代と比べると湧水量は随分と減ってきた。昔は子供たちも良く知ったもので、川草で温かい水をせき止めては泳いで遊んだもの」と懐かしむ。 現在の会員数は区長や住民有志ら七十人。柿田川公園周辺の清掃活動なども積極的に展開している。「全国で行われる湧水シンポジウムを巡って視察したが、柿田川ほど豊富な湧水を持つ川は極めて珍しい」と古泉。「柿田川のよりよい環境を求めて今後も町に提言していきたい」と意欲的だ。 古泉は六人姉弟の中の男一人。体の弱かった父親を手伝い、沼農卒後に農業を継いだ。昭和四十五年から町議を四期務め、議長も経験した。学生時代は「昆虫採集が好きだった。チョウチョを捕まえては学校の図書館の図鑑で調べ、標本にしていた」と思い出を語る。 地域と密接にかかわる公務員の道に進んだOBも多い。現在沼津市政にかかわるのは養護老人ホーム「遊亀園」園長の鈴木正邦(昭36卒)、農林農地課長の柿迫芳信(昭37卒)、沼津北消防署長の久保田明(昭41卒)、市消防本部予防課長の大島文弘(同)、武藤芳男(同)は市生活環境部クリーンセンター所長を務める。長泉町は住民福祉部長の柏木豊(昭38卒)、町消防署長の植松喜久雄(昭44卒)ら、清水町には税務課長を務める横山哲(昭44卒)らがいる。 (文中敬称略) 【注】カッコ内は卒業年。 |
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