<1>

第1章 卒業生の思い

(2003年3月18日掲載)
やり続ける努力が一番
鈴与社長
 鈴木与平氏(61)

努力し続けることが大切―と強調する鈴木与平氏=清水市内
 今年九月、創立125周年を迎える県立静岡高校(静岡市長谷町)。「高きを仰ぐ」を校訓とし、約三万人の卒業生を輩出した。理想を高く持ち、その実現のために各分野で活躍する同窓会員、生徒の姿を通して静高の神髄に迫る。

 鈴木与平(昭35卒)。部活動はバレーボール。体育館では強豪のバスケットボール部が“主役”を張っていたため、もっぱら屋外の土のコートで汗を流した。

 「先輩で慶応大学バレーボール部の江崎善三郎さん(昭27卒、江崎新聞店社長)、松崎至宏さん(昭27卒、松崎化成社長)らが夏休みに指導に来てくださった。厳しかったですよ。でも僕の時は最弱のチーム。OB会に出席しても頭が上がりません」

 慶応大、学士入学の東大を卒業した後、鈴与に入社し、日本郵船に出向した。「コンテナ化が始まった時期で、やたら忙しくて土・日曜日も働いた。上司も厳しく、軍隊の二等兵のようにしごかれた」

 ロンドン支店、パリ駐在員事務所で外国暮らしも経験し、海の向こうから日本を見つめ直した。「日本人ほど近代史の勉強をしていない国民はいない。歴史があってわれわれがいるわけです。近代史を正確に理解し、自分の歴史観を持っていないと世界では通用しない」

 鈴与の常務、副社長を経て昭和五十二年、社長に就任した。清水港を中心とした総合物流企業として発展させ、創業二百周年の平成十三年、通弘を改名し、八代目与平を襲名した。

 国際化が進み、国外での仕事も増加の一途。「海外進出企業が荷を日本へ持ってくるとか、進出先で商品を売るという段階から、今は物が複数の国に行ったり、他国の物と合わさったりと動きがダイナミックになっている。多様な情報、知識を持っていないと対応できない時代」

 静岡、清水両市の合併が四月に迫る。「合併では経済効果の部分だけを議論したがるが、むしろ文化の部分が大事」。世界的な芸術家の展覧会や公演が静岡でなかなか開かれない現状を嘆く。

 「東京や名古屋ではなく、静岡でトップクラスの芸術を見たり、聞いたりすることが大切。文化を集積でき、都市のアイデンティティーを高められる。そうした人たちを呼ぶためには、合併で都市そのものの力をつける必要がある」

 若者たちへのメッセージは熱い。「優秀な人が一年で仕上げたとしても、五年、十年かけてもあきらめず、やり続ける努力が一番」

(文中敬称略)

(火、水、木曜日に掲載します。)



静岡新聞へ