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第1章 卒業生の思い

(2003年4月22日掲載)
好きな科学と小説融合
作家
 瀬名秀明氏(35)

読みまくり、書きまくることの重要性を強調する瀬名秀明氏=東京都内

 瀬名秀明(昭61卒)。夜更けの東北大付属病院薬剤部研究室。静まり返った室内で、黙々と実験用マウスへの注射を繰り返していた。平成六年、同大大学院薬学研究科に在籍し、動脈硬化などの治療薬によって肝臓内ミトコンドリアがどう活性化するのかをつかむため、実験に取り組んでいた。

 ある日、研究室の様子を友人に何気なく話した。「気味が悪い」。意外な反応が返ってきた。「自分にとって当たり前のことでも、はたから見るとホラーの世界なんですね。それなら研究室の中のことを克明に書けば、ホラー小説になるんじゃないかと思い付いたんです」。研究対象のミトコンドリアをテーマに、書き上げた小説が『パラサイト・イヴ』。第二回日本ホラー小説大賞に輝き、ベストセラーとなった。

 推理小説ファンの母の影響で小学生のころから本好きだった。図書館の蔵書を片っ端から借り、高学年での読書量は月五、六十冊に上った。小説の中のシャーロック・ホームズ、少年探偵団の活躍を思い出させる小説も書き始めていた。

 静高に入学してからは書店、古本屋通いが加わった。ブームになった米英のホラー、SF、ミステリー小説を手に入れ、むさぼり読んだ。「二、三年は受験で自主規制したが、一年の時は毎日のように本屋に立ち寄った。藤子不二雄、手塚治虫の漫画もよく読んだ」。所属した美術部の部室通いも日課となった。「絵を描いたり、友だちと雑談したり居心地がよかった」

 東北大薬学部に進学した。相変わらずの“本の虫”で、文芸サークルに入って小説を書いては同人誌に載せた。生命のなぞ解きにもつながる薬学研究にも没頭し、一日の大半を大学で過ごした。「小説がもともと好き。その一方で科学も好き。その両方を合わせたら新しいものができるのかなと思ってやってみたのがパラサイト・イヴ」

 大学の時に読んだディーン・クーンツの『ベストセラー小説の書き方』に感銘を受けた。「ベストセラーを書くためには、とにかく読みまくり、書きまくる。それに尽きると言っている。それは真理だと思う。たくさんの物語を吸収し、自分でどんどん書くしかない」。生命とはなにかという根源的な問いに迫った本紙朝刊小説「ダイヤモンド・シーカーズ」も好調だ。

(文中敬称略)

(火、水、木曜日に掲載します。)



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