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第1章 卒業生の思い

(2003年4月24日掲載)
世界の油田掘削に情熱
早稲田大教授
 森田信男氏(58)

石油会社「コノコ社」の研究員で世界の企業を相手に技術指導した森田信男氏=東京・早稲田大

 森田信男(昭38卒)。昭和四十四年の東大闘争が運命を変えた。大学時代、資源開発工学科石油工学を専攻していたが、紛争のため大学は閉鎖。急きょ、石油部門の研究で有名だった米・テキサス大へ留学し、修士・博士号を修得した。就職した石油会社「コノコ社」で研究員となり、世界の企業を相手に技術指導したほか、世界六十以上の油田やガス田を解析、掘削した。

 五人兄弟の下から二番目。小、中学校時代は伸び伸びとしたいたずらっ子だったが、中学三年の時、書道家の父親が突然、他界した。「おやじが死んで、経済的にどん底に陥り五人兄弟の生活が母親の肩に掛かってしまった。『人間はいつか死ぬんだ』という概念が頭から離れなかった」

 静高では授業前に教科書の問題を自己流で理解するまで解くという予習重点の学習方法を続けた。「100%吸収したかったので毎日の授業が受験勉強だった。先生の授業に対するまじめさと熱心さにも助けられた。今でも新しい研究課題ができると、一週間じっくり考えれば解答を見つける自信があります。独創力も備わりましたね」

 留学時は毎週九十時間以上の勉強に取り組み、英語力のハンディは日本人が持つ計算力や数学力、勤勉さでカバーした。「一生懸命やっていたら面白くなって、日本に帰りたくなくなった。徐々に論文も読めるようになり、『これなら世界で通用する』と思った」

 思い出に残るノルウェーの油田。石油の生産量は一つの坑井から日本の数倍を産出する。新しい坑井を発見することで、企業にとって一日数千万円相当の生産量が増える。「地層はち密で複雑。それでも、強度や性質が分かり、適した技術を使うと、一日だけで地下数キロ先の状態が目の前にあるように再現できる。余分なツールを持っている人間だけの特権。日々、エキサイティングでしたよ」

 五十歳でコノコ社を退職。早稲田大で数値モデル開発と石油生産工学、石油掘削工学を応用する研究に取り組む。現在でも春・夏休みに世界で二カ月ほど世界のメジャー石油企業のコンサルティングや技術教室を開き、自分を磨くと同時に技術向上の指導にあたる。

 「高校時代は帰宅後、職業基礎訓練として五時間ぐらい勉強した方がいい。大学に入ったら、コンピューターを使う能力など実用的なスキルと考える力をつけてほしい」

(文中敬称略)

(火、水、木曜日に掲載します。)



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