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第1章 卒業生の思い

(2003年6月26日掲載)
介護用ロボット実現へ
岩手大教授
 大川井宏明氏(51)

ロボットの機能を説明する大川井宏明氏=岩手大

 大川井宏明(昭45卒)。電動モーターと車輪付きの便器がベッドわきに移動して止まる。U字型アームがベッドに伸び、アームをつかんだ人をゆっくりと立ち上がらせ、そのまま便器側に回転する。アームが下り、利用者は便座に腰掛ける―。岩手大工学部福祉システム工学科にあるトイレロボットと移乗支援ロボットの動きは滑らかだ。

 三年前、福祉システム工学科の発足と同時に担当教授に就いた。介護現場で役立つロボットは何かと考え、排せつに着目した。「介護を受ける人、介護者とも困っているのが排せつ。待てないし、本来、自分でするもの。尊厳にかかわり、他人に面倒をみてもらいたくないと、がまんする人もいる。介護者にとっても、体が不自由な人を動かすことは重労働で、腰を痛めやすい」

 普段は近くになくて、必要な時に身近にあるトイレを目指した。「トイレが常時、横にある生活は避けたいはず」。走行式の便器が最適だった。現在は試作で、電線でつないで制御しているが、将来は音声で移動させる計画だ。「『ちょっと来て』と呼べば、トイレが現れるようにしたい。『ごきげんいかがですか』などとトイレにも話す機能を持たせたい。面白さ、楽しさを感じてもらえる介護を計画している」

 生体計測もテーマだ。「呼吸、脈拍など体の情報に合わせた動きをする介護用ロボットを実現したい。人の介護と同じように、微妙な対応をするロボット。限りなく人間に近いロボットです」。医学、工学の両博士号を持つ。「心理、生理学、教育と融合した科学技術をつくりたい」

 高校三年のギョウ高祭イベントの仮装は印象深い。クラスの出し物は扇を射落とす那須与一が題材。「大きな扇が広がり、富士山を描いた浮世絵が浮かび上がった。感動した」。ハーモニカバンド部に所属し、夜遅くまで練習を続けたことも思い出深い。教師にも感銘を受けた。「教科書から離れて、社会で起きていることも教えていただいた。受験一辺倒にならないようにと考えてくれたのだと思う」

 若者たちにアドバイスする。「自分で文系、理系の枠をはめないでほしい。向き不向きは思い込みということもある。何でも勉強してもらいたい」

(文中敬称略)

(火、水、木曜日に掲載します。)



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