<58>

第2章 人物誌

(2003年7月30日掲載)
感動する心が創作の源
デザイナー
 岩崎堅司氏

道路沿いの看板と岩崎堅司氏=長泉町

 長泉町東野の道路沿いに高さ約二メートル、幅約五メートルの大看板が設けられている。画面には「DREAM」の英文。青を主体に赤、黒、黄色を効果的に使った五文字は周囲の木々の緑の中で鮮やかに浮き上がる。

 「いつでも夢を忘れずにとの願いを込めた。平和であってほしいというのもその夢の一つ。平和であれば、地球はクリーンになるし、人類愛、動物への愛もはぐくまれる」。デザイナー岩崎堅司(67)=昭29卒=は昨年からアトリエの庭に看板を造り、思いを訴えている。

 去年の英文は「PEACE」。アフガニスタン戦争で苦しむ同国民の姿に胸を痛め、永遠のテーマでもある五文字を選んだ。「平和が一番いい」。来年一月には再び、違う英文に替える。「多分、LOVEになるかな」

 静高から東京芸大に進み卒業後、民間企業でパッケージやレッテルなどのデザインに打ち込んだ。一カ月間、ヨーロッパをめぐり、町中を歩き回った。「デザインをする上で、すごく勉強になった。ストックホルムの団地は同じ棟が二つとなく美しく、地下鉄の駅も素晴らしくきれいだった」

 日本を代表する二つの広告コンクールで最優秀の評価を得た。一つはカラーフィルムの広告。「キャッチコピーは『フランスかイタリアか』。両国の国旗はデザインが同じで違うのは色だけ。国旗の違いが分かるのは白黒ではなくカラーだとアピールした。『トラかシマウマか』のコピーもつくった」。もう一つは百貨店のクリスマスプレゼントのPR。サンタクロースを連想させる小粋な広告に仕上げた。

 勉強の虫だ。常に周囲に目を凝らし、よいデザインを探す。「うまいデザインを見つけたら、それ以上のものをつくるために俺(おれ)ならどうすると考える。俺ならどうするですよ。電車の中吊(つ)りや看板。街中、勉強する材料にあふれている」

 デザイン会社を切り盛りし、三つの民間企業の顧問デザイナーも務める。「感動する心、ものごとへの興味がある限り、チャレンジ精神がある限り、デザインの仕事はできる」

 スイスの有名デザイナーの言葉が好きだ。「すべてをやり遂げ、後は待つばかりという作品を目指す」

(文中敬称略)

(火、水、木曜日に掲載します。)



静岡新聞へ