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障害児を生んだ母親や家族の葛藤(かっとう)に直面したことなどをきっかけに、産婦人科医から精神科医に転じた春日武彦(昭46卒)。狂気、癒やし、家族などをキーワードに、現代人の心の問題を鋭い切り口でとらえた著書が、好評を博す。 近著「何をやっても癒されない」(角川書店)は、週刊文春の人気コラムの単行本化。文学的ともいえる筆致と、毒舌的な批判精神で、癒やしブームにも一石を投じている。「今のブームは『癒やされない私』は異常なのか、という感覚さえ与えかねない。癒やしは幻想だ、と強調したい」 日本医科大卒。昭和五十六年から同大付属病院で産婦人科医を六年務めた後、同精神科へ。都立精神保健福祉センター勤務を経て、都立松沢病院に移り、今年六月から診療部長。 「精神科医は患者だけでなく、家族と向き合うことも重要。家族が追いつめられたり、何らかの罪悪感を持ったりして、患者に悪影響を与えていることも多いからです。そこが難しく、同時にやりがいのある部分でもある」 診療に訪れる患者には、切実な症状のない人も増えた。若者の問題行動に、家庭の在り方が影を落としていると感じることもある。「家庭が社会生活の訓練の場になっていない。家の常識と社会の常識がかい離してしまっている気がします」 医療分野で活躍する卒業生は数多い。先輩格は、皮膚科の専門医で、日本医科大教授、同付属第一病院長を務めた宗像醇(昭13卒)。日本での研究、診療の傍ら、三十年にわたりタイとの医学交流や現地での治療活動に貢献してきた。今年三月まで帝京大医学部長だった丸尾敏夫(昭27卒)は、眼科の第一人者。平成七年から十一年には、日本眼科学会理事長も兼務した。小児神経科医師で、県立こども病院長を務めた北条博厚(昭29卒)もいる。 心療内科の姫野友美(旧姓谷川、昭47卒)は都内のテーオーシービル診療所に勤務、ストレス社会を背景に増加する心身症の患者と向き合う。「ピンチをチャンスにかえる心療内科」(悠飛社)などの著作執筆や、テレビでも活躍する。 田村豊(昭50卒)は、京大法学部卒業後、サラリーマン生活を経て医師を志したユニークな経歴の持ち主。都内にクリニックを開業、外来診療と併せ、地域の訪問、在宅医療に力を注いでいる。 (文中敬称略) (火、水、木曜日に掲載します。) |