![]() | <11> |
父親もミカンから転進したばかりで、親子で試行錯誤が続く。二十代の後藤は、東部地区の鉢物研究会メンバーとして長野や岐阜などシクラメンの特産地を頻繁に視察した。全国に名をはせる優秀な生産者の後ろ姿に解決の糸口を見つけた。「答えは簡単。観察力とタイミングの二つだけ。毎日欠かさず植物と顔を合わせ、追肥、薬剤散布など適時作業を逃さないこと」。 球根に光を当てて、芽をふかせる「葉ぐみ」と呼ばれる作業は、二、三日の遅れが出荷時に一週間以上の遅れを生む。正月やクリスマスは時期を外すと、致命的な損失になりかねない。後藤は「大した労力ではない。でも、遊び盛りの当時は実際に実行するのは難しく、管理が行き届かなかった」と振り返る。
三島市でランを手掛ける内藤宗尊(昭53卒)は南米の高原地帯に繁殖する「ミルトニア」の草分け。関東では群を抜く生産量を誇る。 田農時代は一般野菜を専攻。美術の授業中、スケッチ課題でランを描いたのをきっかけに、その魅力に取り付かれた。大学三年時から「卒業と同時に生産者になれるように」と約二百平方メートルのガラス温室を建設し、育苗を始めた。交配による品種開発にも力を入れた。「ラブリーフレンドエリカ」「ベストフレンドサヤカ」と娘二人の名前を付けた商品はバブルがはじけた以降も売り上げを伸ばす。
(文中敬称略)
【注】カッコ内は卒業年。
|
引佐高の100年 富士宮農高百年 御殿場高 躍進の百年 静岡新聞へ |