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シクラメン・ラン

大切な毎日の顔合わせ


丹精のシクラメンに目をやる後藤さん=沼津市西浦
 同じ栽培技術のはずが、毎年実績を上げる生産者と上げられない生産者がいるのはなぜか―。県立農林短大を卒業し、家業の花農家を継いだばかりの後藤良彦(昭57卒)に素朴な疑問が沸いた。

 父親もミカンから転進したばかりで、親子で試行錯誤が続く。二十代の後藤は、東部地区の鉢物研究会メンバーとして長野や岐阜などシクラメンの特産地を頻繁に視察した。全国に名をはせる優秀な生産者の後ろ姿に解決の糸口を見つけた。「答えは簡単。観察力とタイミングの二つだけ。毎日欠かさず植物と顔を合わせ、追肥、薬剤散布など適時作業を逃さないこと」。

 球根に光を当てて、芽をふかせる「葉ぐみ」と呼ばれる作業は、二、三日の遅れが出荷時に一週間以上の遅れを生む。正月やクリスマスは時期を外すと、致命的な損失になりかねない。後藤は「大した労力ではない。でも、遊び盛りの当時は実際に実行するのは難しく、管理が行き届かなかった」と振り返る。


こだわりの「ミルトニア」を手にする内藤さん=三島市三ツ谷
 「後藤花園」は沼津市西浦に広がるミカン畑の一角。約四千五百平方メートルのハウスにシクラメン約二万鉢、カーネーション、ヒポシルタなど二十万鉢を育てる。「出荷期が生産者として最高の時。ハウス内が自分の育てた花でいっぱいになると、今でも感動することがある」と至福の表情。手間暇のかかるシクラメンの出荷は感慨も深い。「息子が巣立っていく感覚かもしれない。街角の花屋で自分が育てたシクラメンを見つけると、大切に育ててくれる消費者に買ってほしいと願ったりして」。花への愛情は人一倍強い。

 三島市でランを手掛ける内藤宗尊(昭53卒)は南米の高原地帯に繁殖する「ミルトニア」の草分け。関東では群を抜く生産量を誇る。

 田農時代は一般野菜を専攻。美術の授業中、スケッチ課題でランを描いたのをきっかけに、その魅力に取り付かれた。大学三年時から「卒業と同時に生産者になれるように」と約二百平方メートルのガラス温室を建設し、育苗を始めた。交配による品種開発にも力を入れた。「ラブリーフレンドエリカ」「ベストフレンドサヤカ」と娘二人の名前を付けた商品はバブルがはじけた以降も売り上げを伸ばす。

(文中敬称略)
 【注】カッコ内は卒業年。

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