| 防災月間 |
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木村拓郎・社会安全研究所所長
つまり、実体のない“自主防”という虚像に、防災の重要な部分を頼ろうとしている。そんな問題が存在するのではないか―ということだ。 行政側は相変わらず何かあれば「自主防、自主防」と細かな対応は自主防頼み。だが、自主防を見ると、しっかりしているところとそうでないところの格差は大きい。組織がなくなりかけている所もある。既に指摘されているように高齢化は進み、自主防活動が町内会活動の一部として消え入りそうなところもある。運営する自主防側の幹部も頭を抱えているのが本当だと思う。 これでも“何かあれば自主防に”と言えるか、と問い掛けたい。 実は阪神・淡路大震災直後の平成七、八年ころは、自主防の研修なども活発で、最新のイメージトレーニング(災害を想定して対応を場面場面で考えていく訓練)を取り入れた講習会もあったりした。意識が高かったこともあるが、行政がお金を付けて後押ししていた。ところが、備蓄とかがそろい出した、ここ数年は予算も付かない。当然、防災担当者は自主防の活動に顔も見せない。自主防の活動は自然と沈滞化した。 こういった実態は案外知られていない。自治体は、自主防の組織化率とかは調べても、実態を直視しようとしない傾向がある。 ある意味、自主防も行政頼みのような部分があるのは、はっきりしているのだから、私は、行政側がもう一度、一から自主防組織を見直すべきではないか―と提起したい。阪神以後、行政は頑張ってきた。が、今は、さらに次の手を打つべき時に来ている。
これは、実は自主防を考える上で、大変重要な問題だ。 一つは、なら自主防に消防や自衛隊並みの力を付けさせるか―ということだが、もちろん、これは現実的ではない。で、考えるべきことは役割分担だと思う。役割を分担して、地域の力を引き出すのだ。 自主防は避難、消火から救出まですべてをやろうとする傾向があるが、これは間違い。年寄りが多い自主防ならなおさらだ。自主防は地域防災の核と言われるが、私は、地域防災のコーディネーター(調整役)になってくれればと思う。地域の学校や事業所とふだんから連携を取って、災害時には声掛け役でよい。防災活動を学校の生徒に頼むのもいいし、街場なら企業も頼りになる。その力を引き出せればいい。 もう一つ、自主防で”指揮権”と言えば、お金の問題だ。災害と言っても、何か必要となれば、お金がいる。いざという時の積立金とか、考えてもいいのではないか。 また、お金の問題は別の意味でも大きい。自主防で会費を取っているかどうか。これが活動のバロメーターになっているケースが多い。会費を取っている自主防は、年間活動をしっかりやるし、事業報告も出す。組織がしっかりしている。逆に会費がない自主防は、町内会の中に埋没している例が多い。 自主防の活動では、防災訓練も再考すべきだ。何度も言われることだが、役所の計画通りにやれば、訓練は「うまくいく」。しかし、参加する市民や子供たちに手ごたえはない。私たちを含め、防災のプロが新たな手法を導入し、訓練を見直す時期にきていると思う。 以前、焼津の夜間訓練に参加したら、カラオケを持ち込んで気を紛らす人がいたり、泥水で芋を蒸かすアイデアを出す人がいたりした。そんな創意工夫も大切だ。また、年度内に耐震診断世帯100%達成とか、自主防ごとに年間目標を持つのもいい。のんべんだらりんでは駄目だ。 防災に一夜漬けは効かない、というのが鉄則。自主防の育成も手間暇かかる。コツコツやるしかない。(終わり) |