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安全対策・高速道路

残る頭上の恐怖

 「耐震性に劣る橋脚から優先的に、コンクリートを厚くしたり、鋼板を巻き立てるなどの対策を図ってきた。完了すれば、阪神の時のように橋脚が倒壊したり、高架部分が落ちたりするようなことはない」


東海地震発生時には「緊急輸送路」として県民の「命綱」にもなる東名高速道。本線をまたぐ跨道橋の対策の遅れが指摘されている=榛原郡吉田町付近、本社ヘリ「ジェリコ1号」
  六年前の阪神・淡路大震災を受け、九五年度から始まった東名高速道路の耐震補強対策。日本道路公団東京第一管理局の角田直行保全企画課長(43)は、効果に自信をみせる。

対策の対象となったのは本線を支える橋脚の補強や本線の橋の落橋防止。当初の三年間で集中的な対応を図ったこともあり、数が多い橋脚も、県内では対象の九〇%以上にあたる約千三百基が完了済み。「二〇〇二年度末までにはすべて終える」(角田課長)見通しという。

▼ 跨道橋落下の危険性

阪神・淡路大震災で阪神高速道神戸線の高架部が六百三十メートル余りにわたって倒壊し、「安全神話」崩壊の象徴として語られた高速道路。惨状を教訓にした対策が公団の手で着実に進む。が、その一方で「頭上の危険」が近年、クローズアップされてきた。本線をまたぐ一般道の「跨道橋(こどうきょう)」だ。

東名は東海地震の発生時、「緊急輸送路」として活用され、被災地支援の人員や物資輸送の「命綱」。跨道橋が本線に落下するようなことがあれば、走行中の車への被害だけでなく、緊急輸送路としての利用に支障が生じる可能性がある。

昨年十二月の県議会本会議。「跨道橋」の耐震対策をただす議員の質問に、県の山口修土木部長(51)は特に市町村道の「跨道橋」の対策が遅れている現状を率直に認め、対応を急ぐ考えをあらためて表明した。

▼ 大半が対策手付かず

総延長約百八十キロに及ぶ県内の東名高速道をまたぐ「跨道橋」は国道、県道、市長村道合わせて百四十五橋。答弁で山口部長が「耐震性能の検討が必要」とした市町村道の百二十五橋のうち、ことし三月末までに対策を完了したのはわずか三橋に過ぎない。専門家から「耐震性が低い」と指摘され、特に対策が急がれる「けた橋」と呼ばれるタイプの橋に限ってみても、十八橋のうち対策済みは二橋だけ。幹線的な道が少ないこともあって、厳しい財政事情の中で優先順位の高い対策に位置付けられてこなかったのが理由だ。

一方、残りの百以上を占める橋については、補強が必要かどうかすら、まだ評価されていない。それらはいずれも、掘割部の斜面に向かって両側に斜めの「けた」が延び、正面から見た形が円周率の記号に似ることから「π(パイ)ラーメン」と呼ばれる橋だ。

πラーメン橋は、形状や構造から「比較的安定性があり、過去の被害状況などを見ても地震に対して強い」(国土交通省道路防災対策室)といわれる。だが、県が国などの支援も受けて二〇〇〇年度から始めた技術的な検討に加わる関係者は「東海地震にも落橋するようなことは恐らくないとは思うが、厳密に言えば被害の計算手法自体がまだ確立しているとはいえない。対策が必要かどうかの見極めや工法の確定には専門的な検討が必要で、方針が固まるにはもう少し時間がかかりそうだ」と打ち明ける。

ルートに掘割部が多いため県内で最多の跨道橋を抱え、うち「πラーメン」橋が二十二を占める沼津市。建設部の担当者は「東名の重要性も、対策を急ぐ必要があることも十分認識している」と県の検討の行方に熱い視線をそそぐ。

(「2001年東海地震」取材班)

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