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提言(4)
市民の視点に立った地震情報の発信
分かりやすさ重要

 四月三日午後十一時五十七分、県中部で起こったマグニチュード(M)5・1の地震。気象庁は間もない四日午前二時、「東海地震と結び付くものではない」と解説情報を発表した。異例の早さ。迅速な対応は防災関係者の間で評価された。

しかし、静岡総合研究機構・防災情報研究所(井野盛夫所長)がアンケート調査をすると、厳しい結果が待っていた。


4月3日深夜の県中部地震(M 5.1)について気象庁の見解を伝える「解説情報」
正確な理解2割弱

この情報を「知らなかった」人が59・1%、内容は知っていても「解説情報であることは知らなかった」人が15・7%、解説情報が出たのは知っていても「内容を知らなかった」人が11・2%。受け取り方がバラバラで、正確に理解していた人は二割以下だった。

情報が正確に伝わるには発信側と受け手側の共通認識が不可欠。これでは心配だ。発信側はもっと工夫が必要だし、情報を流す関係者にも配慮が求められるはずだ。

「まず気象庁が地震に関して『解説情報』や『観測情報』を出すというシステム自体が市民には理解されていない。さらに、解説だ、観測だ、と言っても、危険なのか安全なのか、判断しにくい。改良が必要だ」と同研究所の川端信正研究員(62)も指摘する。

昨年十一月、静岡市で開かれたシンポジウム。東大社会情報研究所の広井脩所長(54)は観測情報の欠陥に言及し、「区別できない人が多いのだから、『安心情報の』解説情報、『注意報に当たる』観測情報と注釈を付けるべきだ」とした。

警戒宣言に至る前は、東海地震の前兆は「観測情報」の扱い。緊急性を伝えるのなら「緊急」を付けて「緊急観測情報」と名前を変え、注意を喚起したらどうか。

行動指針も必要に

政府が発表する、長期的地震予測情報も同様の問題点を抱える。

今年二、三月に東京で開かれた国際シンポで、判定会委員の島崎邦彦東大教授(54)は、活断層による地震が「三十年以内の発生確率14%」などとした確率評価は「理解されにくい」と問題提起した。同じ会場で広井所長は「何%なら住民はどういう行動をすればいい、といった行動指針まで示すべきだ」と述べた。

東海地震が迫れば、こういった地震情報に伴う行動指針の追加も必要になるはずだ。例えば、観測情報は出たものの警戒宣言に至らない段階。児童は学校へ行くのか、一般市民は外出しない方が良いのか…。県はケースに分け、行動指針の考え方を準備しておかないと混乱を招くだろう。

今、地震学会では将来検討委員会委員だった京大の橋本学教授(44)らが中心になって「地震学を社会に役立てる」ための検討を始めている。出発点は「地震学者はあまりにも世間知らずではないか―」という自問自答。学者が上手に情報発信できず、研究成果が社会に役立っていないのではないか、というのだ。

地震に関する分かりづらい研究発表や、的外れの解説…。こういった問題の解決へ、橋本教授らは地震学者以外の識者や防災関係者らと意見交換会を始める。

東海地震はこれから、注目される情報がたくさん発信されるだろう。その内容が誤解なく伝わるよう、発信側の専門家も情報の扱いを十分研究してほしい。

(「2001年東海地震」取材班)

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