新聞カラー輪転機について

 静岡新聞を印刷をしている輪転機は「タワー型超高速オフセットカラー輪転機」と呼ばれているものです。この輪転機は8ページ4色刷りのできる「4HIタワー機」が2台、2色刷りのできる「2HIタワー機」が2台の計4台で構成されています。この為、最大32ページの新聞を印刷することができます。この輪転機セットが6セットあり、これらを使用して静岡新聞を印刷しています。
 各輪転機セットはそれぞれ32ページの新聞を1秒間に20部印刷することができます。又この輪転機セットの大きさは幅が約4.4m、長さ約22m、高さは1番高いところで約9.5mあります。この各輪転機の下の部分には新聞用紙を供給する給紙装置があり、ここに新聞用紙を取り付け用紙を供給して印刷をします。その為、我社の新聞印刷室は給紙装置も含め幅46.4m奥行45m高さ14.25mあり、これは建物の高さでいえば4階分の高さに相当します。


 カラー印刷をする輪転機は 1990年代まで「サテライト型オフセットカラー輪転機」と呼ばれるものが全国の多くの新聞社で使用されていました。このサテライト型オフセットカラー輪転機は4ページ分のカラー印刷ができ、現在でもこのタイプのものを使用している社もあります。
 しかし1992年、輪転機1台で新聞最大8ページ分のカラー印刷ができる画期的な輪転機を、静岡新聞社の印刷局技術陣と輪転機メーカーの東京機械(TKS)とで共同開発しました。この輪転機はタワー型超高速オフセットカラー輪転機で、現在我社が導入しているものです。従来のサテライト型オフセットカラー輪転機は新聞紙の片面だけしかカラー印刷ができませんでしたが、この輪転機は新聞紙の裏表両面を同時にカラー印刷ができるのです。
 この輪転機を開発した頃から新聞業界では新聞紙面のカラー面をさらに多くしたいという「モアーカラー化」の構想が叫ばれており、時代のニーズに合ったタワー型オフセットカラー輪転機は我々が開発した当初の予測以上に急速に全国の新聞社に導入されるようになりました。現在ではタワー型オフセットカラー輪転機はTKS製ばかりでなく他の輪転機メーカーも 商品化しており、タワー型のカラー輪転機が全国の新聞社の主流になっています。
 タワー型オフセットカラー輪転機は サテライト型と比較すると1台でサテライト型の2台分の働きができ、非常に効率の良い輪転機でありますが大きな問題点がありました。それは「FAN OUT」(ファン アウト)と呼ばれる現象が発生して 4色刷りの印刷過程で4色の色がズレてしまい、カラー写真が鮮明に印刷できないという欠点があります。 
 我社とTKSがタワー型輪転機を共同開発する以前1980年代、一時ヨーロッパの新聞社でタワー型輪転機が導入されました。しかしFAN OUT現象の為、開発中止になった経緯があります。
 我社がTKSがタワー型のカラー輪転機を共同開発した時も 一番最初にこのFAN OUT現象を解消する方法を研究しました。試行錯誤の末、世界で初めて、FAN OUT現象を完全に解消する方法を考案しました。色ズレが無い紙面を印刷できるタワー型オフセットカラー輪転機を完成させたのです。


FAN OUT現象


 右図は4色刷りのタワープレスで、新聞用紙に1色ずつ印刷される様子を表わしたものです。
 まず1色目の墨色(ブラック)が印刷される時、新聞用紙は、印圧(印刷圧力)を受け墨インキと水が新聞用紙にセットされます。これにより、新聞用紙は紙の幅方向に伸びてしまいます。その為印刷された藍色の「カギマーク」は版のカギマーク位置より 外側になっています。
 次に2色目も同じように印刷されますと、紙の幅方向にさらに伸びます。このようにして3色目、4色目と印刷されますと紙の幅方向にその都度伸びていきます。かぎマークは紙の幅方向の伸びが無ければ、4色が重なって印刷され1本「かぎ」に見えます。しかし実際には図のように4色がズレて印刷されてしまいます。これがカラー写真ですと色ズレが発生してしまいます。この現象をFANOUTと呼びます。
 尚、FAN OUTのFANは"扇"という意味で、あたかも扇のように紙が伸び広がっていく為に この名称が付けられています。

 8ページの新聞が印刷できる新聞用紙の紙の幅は 1626mmありますが、4色印刷されますと 用紙メーカーによって異なってきますが、約1m〜約3mm紙の幅方向に伸びてしまいます。我社では カラー印刷の色ズレ量の 許容範囲は ±2/100mmを目標としていますので、このままではタワープレスでは 使用できません。さらに同じ用紙でも、輪転機の速度が低速で印刷している場合と、高速の場合では 紙の幅方向の伸び量は違ってきます。このFAN OUT現象はタワープレスの最大の欠点といわれてきました。