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イラク人質事件 焼津市、Fw190、男性

 「自分達は正しいことをしている。この気持ちは、きっと世界の人達に通じるはず」 この無邪気さ、純粋さに、私は言いようのない激しい憤りと嘔吐を伴うほどの嫌悪感 を覚える。

 「彼ら(イラク人質)を批判することにより、世界で活躍しようとする若い人たちが 意欲をなくすことを憂える」。彼らを擁護する論者が多用する意見であるが、これはま ったくの見当違いである。活躍するのは勝手であるが、その前提として社会のルールを 守り、社会に迷惑を掛けてはならないのは当然である。

 「自分の純粋な夢を実現するために、何も気にせず突き進む。社会のルール、大人の ルールなんかに縛られてはいられない」。イラク人質の若者に代表される、このような 考えが現代社会の一部に蔓延していることは事実であり、これには深い憂慮の念を抱か ざるを得ない。そしてこのような考えをよしとする風潮にも、激しい憤りを覚える。

 社会というものは、目立たないところで黙々と任務に励む、多くの無名の人々によっ て保たれている。家族を残してイラクへ派遣され、黙々と任務に励んでいる自衛隊員や、 勧告を無視してイラクへわたり、人質となった連中を救うために、不眠不休で任務にあ たった外務省の人々など、数多くの人々が日本のために働いている。

 そうした人々の努力に敬意どころか関心も払わずに、いかに純粋な気持ちとはいえ、 ルール無視で突撃してスタンドプレーを行った連中を擁護し、それどころか褒め称えさ えする連中がいる。これは、黙々と、かつまじめに、秩序にしたがって任務に励んでい る多くの人々に対する冒涜であり、彼らを踏みにじる行為であると私は断言する。

 一般の会社にも、イラク人質と同様の連中は存在する。会社ひいては社会の安定的な 存立は、規則すなわち秩序に従い、その維持に並々ならぬ不断の努力を行ってきている 多くの無名の人々によって保たれているのである。彼らの努力は、評価されることは少 ない。なぜなら、彼らすべてが完璧に任務をこなした状態とは、世の中が平穏で何事も ない状態だからである。

 その時、世の平穏の恩恵を被っている人々が、それを維持するために日夜努力してい る人々に思いを馳せることは確かに難しい。しかし、少なくとも彼らを冒涜したり、そ の努力を踏みにじるようなことを行ってはならないはずである。

 それどころか、スタンドプレーの連中は、日頃目立たず地味な努力を行っている人々 を内心小馬鹿にしておきながら、いざ自らのスタンドプレーが破綻し窮地に陥ったとき、 何の臆面もなく、厚顔無恥なることに、自分が小馬鹿にしてきた人々に救いを求めるの である。

 そしてせめて、その際に自らを反省するならばまだ許せるものを、傲岸不遜なること に、自分達を救うのは当然だというような言動をもとるのである。

 また、「イラク人質の行動は無謀だと言うが、彼らの行動によって日本のイメージは 高まっている面もある。その貢献度は計り知れない。彼らは日本の広告塔である」とい う意見にも何度か接した。これもまた、甚だしい勘違いといわざるを得ない。「イメー ジが高まった、貢献した」など何の根拠もない、希望的観測に過ぎない。それどころか、 戦後の日本人がいかに国際情勢や戦争というものに疎く、平和ボケしているかを計らず も世界に知らしめたとすらいうことができる。広告塔どころか、恥さらしである。

 「国内にいて何もしていない人間は、イラクで活動してくれた人質を批判できないは ずだ」という意見もある。私は、日本を代表して活動していくれている自衛隊員のみな さんや外務省のみなさんには忠心より敬意と感謝の念を抱く。しかし、国の勧告を無視 して勝手にイラクに行き、あげく人質となり、多くの人々に余計な苦労をかけた連中に、 「イラクに行ってくれ」と言った覚えはなく、また行ってほしかったわけでもなく、し たがって、彼らに感謝しろと言われる筋合いもない。

 以上、だから私は、人質とその擁護論者に激しい憤りを感じるのである。


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