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| 「進む晩婚 何が理由?」 インタビュー (03/09/07) |
| 結婚するしないは個人の自由ですが、現在進行している晩婚、未婚化の現象は、個人的問題として片付けるにはあまりに広く起こっています。晩婚化は少子化を招き、年金制度など国の根幹を揺るがしかねない問題でもあります。どんな社会的、個人的事情が晩婚化を引き起こしているのでしょうか。国立社会保障人口問題研究所の少子化問題研究会のメンバーとして、経済学者の立場から結婚を研究する一橋大学経済研究所の北村行伸教授と、心と体の悩みを抱える女性に向かい合う静岡市出身の心療内科医姫野友美さんに、話を聞きました。 |
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―経済学の手法で、結婚にアプローチする意義はどんなところにありますか。 「親と同居してなかなか自立しないパラサイトシングルが増えているとか、キャリア女性が結婚をしないとか、一般的に晩婚の原因と言われていることはいろいろあります。しかし厳密には、親の所得の有無、実家が持ち家か借家か、学歴はどうかなど、細かく条件を分類して考えなければ因果関係を論じるのは難しい。印象論としてでなく、もっとデータを実証的に見ていこうということです」 ―研究でどんなことが分かってきましたか。 「結婚の組み合わせは、男性の方が女性よりやや学歴が高く、男性は仕事に、女性は家事に特化していくケースが大半です。したがって結婚相手が見つかりにくいのは、学歴、収入が高い層の女性と、低学歴低所得層の男性。このうちより深刻なのは、これまでに言われてきた女性側の状況より、むしろ男性の方だということが分かってきました。数を見てもずっと多い。また女性はたとえ高学歴でも妥協し、いずれは結婚していく傾向がありますが、男性の方はなかなか問題解消が難しい」 ―経済の低迷は若い人の生活に影響しているのでしょうか。 「デフレや雇用不安の影響は大きいでしょう。パラサイトシングルと言うと、いかにも高学歴高所得の親元で、大学まで卒業した子どもが自分の給料を自由に使って優雅に暮らしている、というイメージを持つかもしれませんが、それは一部でしかない。そうした富裕層以上に、社会的にめぐまれず不安定な生活を強いられている親と、その結果、十分な教育が受けられず、定職もない子どもが同居しているパターンは多い。収入の不安から結婚できないということにもなります」 ―就職をしていない人は、結婚しにくいということですか。 「現在、地域格差が結婚、出産に与える影響を研究していますが、特に男性に関しては、就職率が低い地域では婚姻率が低い。若年層の雇用不安は、若い人が結婚しない大きな原因になっていると言えます。一方で、きちんと就職さえしていれば、収入の多寡は結婚に影響しないようです」 ―親との同居は結婚の壁になっているのでしょうか。 「親と同居していた人は、結婚して独立すれば、親の家よりずっと狭い所で高い家賃を払って暮らさなければならなくなる。生活水準は当然下がります。その大きなギャップが壁になっているということはあるでしょう。また、どんな生活上の変化が結婚につながるのかに着目すると、親からの経済的自立が大きな要因になっているというデータもあります」 ―晩婚が進む理由として、ほかに考えられることはありますか。 「出会いがそこらじゅうにあることも一つでしょう。この先もっといい人がいるかもしれないと思うから、なかなか踏み切れない。数学的に解析すると、ある人数の中から、順番に面接をして一番いい人と思う人を一人選ぶとして、最初の三分の一は、かなりいいと思っても見送るんです。残りの三分の二のうちに、最初の三分の一でいいと思った人を上回る人が現れれば、即決する。もちろん現実はその通りにいくとは限りませんが」 ―晩婚化は、少子化に直結する社会問題とも言えます。食い止めるには何が必要でしょうか。 「住むところの選択や結婚の意思決定など、必ずしも本人が主体的に決めているとは言えない部分が大きく、若者ばかりを責めることはできません。現代の日本は社会全体がパラサイト化している。サラリーマンは企業に、企業は政府に、地方自治体は国に依存してきた。こうした精神的な土壌、大人社会のパラサイト化を解消することなしには、若者に自立を求めても説得力がありません。自立した個人が契約に基づく公正な社会を形成していけるよう、構造的な改革が重要でしょう」 |
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―結婚したくないと思う人が増えているのでしょうか。 「結婚をしたくないという人はほとんどいないでしょう。二十代くらいからは、誰でもチャンスがあれば結婚したいと考えていると思います。ただ『今すぐに結婚しようとは思わない』ということです。今の女性は多くが大学などを卒業して、就職しますね。いきなり結婚する人はほとんどいない。一度は社会に出て、社会の中で活躍したい、自分の能力を試したいと思っているわけです。自由になるお金がほしいということも大きいでしょうね」 ―なぜ晩婚が進むのでしょう。 「わたしは”OL三年目の危機”と命名したのですが、一通りの仕事が分かるようになった二十五歳くらいで、女性にはたいてい迷いが生じます。仕事というのはそんなにすぐに結果が出てくるものではないし、思うような仕事がすぐ与えられる訳はないのですが、とにかくそういう不満がくすぶってくる。そこで、しばらく前なら結婚して寿退社、というのが黄金パターンだったのが、今は必ずしもそうではない。転職だってできるし、選択肢が非常に広がっている。迷ったときに、必ずしも結婚に逃げ込む必要がなくなったということでしょう」 ―いつかは結婚したいという気持ちが、結婚に結びつかないのはなぜでしょうか。 「結婚したいと思う男性がいない、結婚しなくても生きていける、自分のやりたいことができなくなるという不安がある、という三つくらいの理由でしょう。女性も社会に出て、男性と一緒に仕事をして、男性を見る目が厳しくなっています。相手を選べる時代になったとも言えますが、選び始めると、相手の人柄はもちろんそれ以上に、結婚して今の自分の生活が維持できるかとか、相手は長男だからいずれは田舎に引っ込まなければならないとか、仕事は続けたいが相手に転勤があるからだめかとか、いろいろ考える。今の女性はよほど好きでない限り結婚しない、というスタンス。現在の生活の方がいい、という選択もあり得る」 ―結婚に踏み切るきっかけには、どんなことがあるのでしょう。 「自分の体の具合が悪くなって、結婚に踏み切る人は多いですね。体に異常が出るというのは、今の状況を変えた方がいい、という一種のストップサイン。そこで立ち止まって考えて、結婚しようか、となる人は案外多い。気持ちが弱くなって、誰か一緒にいてほしいということもある。あとは親が老齢化して、面倒を見なければならなくなったというような時。そうしたライフイベントが結婚につながるケースは多い」 ―女性が男性に多くを求めすぎているということはないのでしょうか。 「女性は、この人と一緒にいる価値があるかどうか、という考え方をしますね。一緒にいる男性の存在が、自分の意味を決めていくような部分を持っている。男性に比べて相手に求めるものが大きいともいえるかもしれません。結婚をしようというのだから相手に期待をするのは当たり前ですが、過剰な期待は禁物。失望が大きくなります。どこに期待をして、どこに期待しない方がいいのか、距離感をうまく測って、自分のペースに持って行くことが大事です。いったんマイナス面に目を向けてしまうと、嫌悪感ばかりが強くなっていってしまいます」 ―独身女性にアドバイスをお願いします。 「結婚は個人の選択ですから、いいとか悪いとか言えることではありません。しかし、何かを失わずして、何かを得ることはできないのも事実。結婚して失うものもあれば、結婚せずにいて失うものもあるということはよく考えるべき。それから、人間関係は芋づる式に広がるものですから、最初の芋をつかむ努力はきちんとしなくては。職場など、自分が特に努力をしないでできた人間関係の中だけに落ち着いていてはつまらない。いろいろなことに興味を持ち、積極的に外に出ていけば、新鮮な出会いも待っているでしょう」 |