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| 「どちらを選ぶ?旅館とホテル」 インタビュー (03/10/26) |
| 秋の行楽シーズンの到来です。最近はデフレ下で行楽の「安・近・短」の傾向が定着し、県内でも老舗旅館の廃業やリニューアルが話題になっている一方、さまざまな工夫を凝らし、人気を集めている旅館やホテルもあります。今回のテーマは「どちらを選ぶ? 旅館とホテル」。修善寺温泉旅館協同組合の鈴木茂樹理事長(瑞の里○久旅館専務)と、オークラアクトシティホテル浜松の名倉雅彦支配人室営業企画課長に、旅館とホテルそれぞれの魅力をインタビューしました。JTB旅のサロン静岡の吉田満里子さんにも、最近人気の旅館とホテルの傾向をうかがいました。 |
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―県内の旅館は減少傾向ですが、どんな背景があるのでしょうか。 「伊豆の温泉旅館はかつて団体客でにぎわいました。その後、各地に温泉が増えたので、昔のまま方向転換できなかった一部の旅館は苦しくなったと言えるかもしれません。当旅館は平成八年、温泉街の中心部から移転し、建て替えました。車で来るお客様が増えているのに、元の場所では駐車場の確保が難しかったからです。新館のコンセプトは“モダン和風”。昔からの旅館の温かさを残しつつ、都市ホテルの気楽さも取り入れる形にしました。お客様のお着きからお帰りまで専用の係を付けますが、必要以上に係は部屋に入らないようにしています」 ─最近のお客さんの意識の変化はどうですか。 「二、三人様はほとんど、夕食の部屋出しを希望されますが、部屋出しをしない旅館に対する抵抗は少なくなっていると聞きます。お客様のし好は時期によって変わるので設備投資は大変です。旅館が売店やスナックを置くので、客が街に出なくなると批判を受けることもありますが、お客様や旅行代理店から『なぜないのか』と聞かれた時のことを考えれば置かざるを得ません。全室離れや露天風呂付き部屋がはやっていると聞けば作りたくもなる。時代に乗っていくのは難しいですね」 ─旅館のもてなしとは、ずばり何でしょう。 「ホテルとの一番の違いは、土地土地の良い物を楽しんでいただくということでしょう。温泉で疲れを取り、伊豆の珍しい物やおいしい物を味わい、明日の英気を養っていただく。料理係、フロント、客室係、風呂係、女将(おかみ)など、各セクションが一体となり、季節感を大切におもてなししたいと思っています」 ―さまざまなセットプランを設けている旅館もありますね。 「昨年まで五人以上を対象に忘年会プランを設けていましたが、今年はやめることにしました。団体のお客様が増えると、個人のお客様からうるさいという苦情も出るようになります。料理の内容を落として、安いプランを作るように思われても困ります。以前はエステ施設とタイアップしたプランも実施していましたが、最近は旅館の中にエステ施設を設けている所もあるので、誤解を避ける意味でも同プランは打ち切りました。ただ、女性の数人連れのお客様は増えているので、女性向けの良い企画があればやってみたいですね」 ―旅館のお客さんを増やすには、どうしたら良いでしょうか。 「旅館に泊まっていただくためには、まず温泉地に観光に来ていただかないと。最近は東京や横浜にもいろんな楽しみがあり、都市ホテルがあの手この手で頑張っているので、ますます競争相手が増えています。都会では味わえない物を温泉地全体でアピールすることが大事でしょう。修善寺には幸い、昔からの温泉場らしい情緒があります。十一月下旬に見ごろを迎えるモミジ林は、真っ赤なじゅうたんやトンネルのようになるのが見事です。大きなイベントではなく、小さな企画を行ってお客様に楽しんでいただき、口コミで評判が広がるのが一番良いと思っています」 |
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―いろんな宿泊プランをそろえたホテルが増えているのはなぜですか。 「シティーホテルへのニーズは多様化しています。当ホテルのお客様で最も多いのはビジネスマンですが、女性、若者、家族連れなど、さまざまな層に受け入れてもらえるよう商品を企画しています。特に女性限定の特典付きレディースプランや、太平洋を一望する展望浴場、プールをセットにしたリフレッシュプランが人気ですね。非日常的空間にゆっくり身を置くことで、普段の仕事の疲れを忘れてもらおうという狙いです。ホテルで持っているレストランやプールなどの付帯設備を最大限利用し、他と差別化を図るためにもプランに力を入れています」 ―ホテルは流行に敏感ですね。 「物を売っているわけではないので、決して安ければ良いわけではなく、商品が料金以上に魅力的かどうかが勝負です。そのためには常にお客様より先へ先へトレンドを追っていかなければなりません。良い施設を利用し、ゆったりした雰囲気で、行き届いたサービスの中で食事し、泊まっていただく。宿泊プランにしても結婚式の演出にしても、絶えず新しく変えています。最近は女性がとても元気なので、女性が興味を持ち、満足感が得られるような商品づくりを心掛けています」 ―地域の観光施設などとはどう連携を図っていますか。 「宿泊予約を待つ姿勢から、地元企業や観光施設、テーマパークとうまくタイアップし、浜松をアピールするスタンスが必要です。今夏は自然保護団体と協力し、ウミガメ放流プランを企画したところ、『涙が出た』と言って喜んでくださったお客様もいました。来年の浜名湖花博に合わせ、豊田町香りの博物館など、花にちなんだ場所をめぐるバスツアーを提案したり、茶摘みや手もみ茶づくりを体験するプランも設けました」 ―ホテルは敷居が高いというイメージがありますが。 「本当はそんなことはないんです。待ち合わせでも良いので、一度中に入ってほしいですね。そのためには地域の方に親しんでもらえるホテルづくりが大切だと思っています。まずはランチタイムのレストランを使ってください。気に入っていただけたら、誕生日や同窓会、結婚式に使おうか、浜松まつりに親戚が来るので泊まってもらおうか、という気持ちになるのではないでしょうか。ホテルは旅館と違って、泊まるだけではなく、いろんな使い方があるのが特徴。お客様にも使い道を開拓していただきたいですね」 ―ホテルのサービスの心得で大切なことは何でしょうか。 「ホテルオークラの業務心得には『まずイエス。私たちは常にお客様のウオンツに応えます』という項目があります。ウオンツはニーズと同じ意味。お客様のニーズに応えるには、時代に順応した力とスタンスが大切です。また、ホテルはVIPをはじめ、いろんな人が集う場所ですから、国際的に通じるサービスマナーのレベルも必要になります。最近は接客マナーやビジネスマナーの重要性が一般企業でも再認識されつつあります。二年ほど前からは企業の新入社員や管理職向けに、ホテルのマナー研修のノウハウを紹介するマナー研修プランを始めています」 |
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―最近の旅行客の傾向を教えてください。 「部屋数三十室程度以内のこぢんまりとした旅館でゆっくり滞在するというスタイルが熟年や若者に人気です。ホテル派は観光に主眼を置く方やカップルが中心。スイートルームにこだわる方も増えています。最近は海外旅行は疲れる、という理由で、国内旅行を選ぶ人も多くいます。伊豆の人気旅館の平均価格は二人一室で一人二万円前後、露天風呂付き客室や離れの客室なら三万円。新しくできた東京や横浜の高級ホテルへの問い合わせも多くあります」 ―どんな旅館に人気がありますか。 「人気の高い旅館は和風といってもモダンな造りで、部屋とは別に個室の食事室を設け、選ぶことができる所が増えています。中には食事室がオープンキッチンになっていて、作りたての料理がその場で味わえる旅館もあります」 ―ホテルはどうでしょう。 「チェックインが遅くても大丈夫など、サービスに融通が利くのがホテルの魅力。バースデーケーキを深夜零時に部屋に届けてもらうこともホテルなら頼みやすい。ブランド品のアメニティグッズをそろえているホテルも増えています。天然温泉のあるシティーホテルや、プールやエステのある旅館も出てきました。旅館もホテルもそれぞれの良さを取り入れ合っているようです」 |
| ホテルと旅館 旅館業法では、ホテルは洋式の構造・施設を主とし、旅館は和式の構造・施設を主とすると定めているが、「ホテル」を名乗る旅館も多く、厳密な区別はない。県生活衛生室によると、平成十年度末に県内には旅館が四千八百八十七軒、ホテルが三百十五軒あった。昨年度末では旅館が四千五百四十五軒に減少したのに対し、ホテルは三百二十九軒に増えた。 |