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| 「65歳定年制を考える」 投稿・インタビュー (03/11/16) |
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雇われる側からすれば、健康状態が勤務に適さず、自己都合退職の形で辞めることになれば、定年まで勤めて満額もらえることになっている退職金を、何割かカットされることになります。 対論には、研究者と企業の立場からのご意見しか載っていませんでしたが、事務や技術系の職種ばかりではないことをお考えいただきたく思いました。長期にわたる不規則な営業出張や、連日十二時間以上の実働時間の単純作業労働を強いられる仕事に就いている者が、高齢になってからの就労継続に不安を感じ、何か技能を身につけておきたいと思っても、現実には学校に通う時間をひねり出すことはできません。通信教育や独学で得られる資格はたかが知れています。 そうした根本的なことが是正されなければ、年金受給年齢に近くなるまで働けると言われても、六十五歳定年制は、被雇用者にとって絵に描いたもちでしかありません。 (静岡市、匿名希望、主婦)
なぜなら今の日本の状況を考えると、「年金が足りなくなるから遅らせよう」と言う考えしか見えず、なぜこうなったか、どうするべきかの議論が十分になされていないと感じます。結局は問題の先送りでしかなく団塊世代の方が六十五歳になるころには更なる受給年齢の引き上げでまた先送りするのは必至でしょう。 個人的には年金は当てにしないように考えています。六十五歳にこだわらず働く必要と働く環境があれば働いていると思うし、資産形成がうまくいけばもっと前に引退するかもしれません。退職しても自立できるよう、今いろいろな方法を模索しています。ですから年金は「もらえたらラッキー」程度にしか考えてません。 月々払っている年金はサラリーマンである以上強制的に引き落とされてしまいますから、今払っている分はこの先何らかの理由で障害者になった場合の障害者年金のための保険と両親の仕送りとして考えるようにしています。 (静岡市、しんじい、35歳)
まず第一に、労働者の立場を考えた場合、六十歳近くになると、個々人の体力、働く意欲、能力に非常にばらつきが発生すると考えるからです。これは小生、三十五年の企業人としての経験からです。極端に体力のなくなる者、全くやる気のなくなる者、またその逆で、この旺盛な体力、意欲で六十歳?と疑いたくなるほどの者もおります。前者の状態の者を定年延長し働かせることは本人にとっても不幸です。 企業の側も定年制の延長で雇用することは人件費、企業の若返りが図れない、職場の周りへの影響など、マイナス面が多く、プラス面は全く考えられません。 結論としては延長に対しては、企業と個人の話し合いにより決定することが、お互いの立場から良いのではと感じます。小生も六十歳定年後、さまざまな事情があり、五年間、旧職場で働き続けましたが、その五年間は現役の者に負けない働きをしたと自負しております。現在、大部分の方は定年後、収入の約100%を年金に依存する状況ですが、今後は定年後も自分の生活は自分で守るとの意識改革が必要のように考える次第です。少子高齢化で年金関係を含め、福祉関係の環境は年ごとにますます厳しい状況になるはずです。 (浜松市、匿名希望、76歳) |
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―定年制をどう考えますか。 「定年制はそもそも、暦の年齢によって一律、強制的に退職させる年齢差別です。年金の空白を埋める必要から、現在は六十五歳までの定年延長が議論になっていますが、大前提として、国はまず、年齢差別のない社会を作るという方向性をはっきり宣言すべきです。その上で、将来の定年制撤廃、年齢差別禁止の法制化を視野に、具体的なスケジュールを提示してくべきでしょう」 ―社会状況と定年の関係をどう見ますか。 「日本は少子超高齢、人口減少の時代を迎えています。高齢者が増え、若者が減るという人口構造の激変の中、これまでのピラミッド型を想定した社会制度は合理性を失っている。定年退職制度はその象徴です。高齢者に経験、知識を生かし、少しでも長く社会を支える側にいてもらわなくては、時代にふさわしい共同体づくりを進めることはできません」 ―社会制度の抜本的な見直しが求められているということですね。 「雇用の問題だけでなく、年金、医療など社会保障制度をどう再構築するかは大きな課題。しかし、国は負担を上げて、給付を引き下げるという小手先の対処を繰り返して、大きな不信を招いてしまっている。負担と保障の将来像をもっとはっきり示し、企業にも国民にも覚悟を迫っていかなくてはいけません」 ―米国は、いち早く雇用における年齢差別を禁じています。 「米国では高齢者の権利擁護の観点から、一九八〇年代、高齢者団体を中心に大きな運動が起きました。一九八六年には雇用における年齢差別禁止法(ADEA)が成立し、定年制が撤廃されています。六〇年代の人種差別、七〇年代の性差別撤廃運動と同様、人権意識の高まりの中で、当事者が声を上げていったという背景があります」 ―なぜ高齢者組織がそれほど力を発揮したのでしょう。 「米国では高齢者の投票率は80%を下ることはまずありません。政治意識は高く、自分たちの権利、誇りは自分たちで守るという気持ちが強い。日本にも高齢者組織はありますが、政治的に力を発揮する状況にはありませんね。年金の支給額を見てもそうですが、日本の高齢者が恵まれているからでしょうか」 ―学問的な裏付けも運動を支えたそうですね。 「ジェロントロジー(老年学)という学問が貢献しました。加齢を科学的、文化的に解析していく多領域の学問です。この成果として、職務完遂能力は、相当な高齢になるまで低下せず、しかも個人差が大きいことが実証されてきました。実年齢に代わり、機能年齢という概念も示されています。日本はまだまだ、高齢者は経済的、社会的弱者であるという画一的な高齢者像にとらわれていますが、学問的アプローチを取り入れ、議論を深めることも大事です」 ―定年制廃止で何が変わりますか。 「米国では禁止法があっても、減額して年金がもらえる六十二歳くらいで退職するのが普通です。重要なのは、自分の意思で退職時期を決められるようになること。職業人生を自分の手に取り戻すことです。また、年齢で差別しないということは、高齢者を特別扱いせず、若い人と同じ土俵で働いてもらうことでもある。高齢者には覚悟も求められます」 |
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■次回23日も「65歳定年制を考える」 投稿特集 次回のテーマも「65歳定年制を考える」です。今回紹介したインタビューや投稿では、高齢者は個人差も大きく多様な存在で、一律に年齢で区切ることは実態と異なるという見解も示されました。あなたは定年制をどう考えますか。意見を聞かせて下さい。 |