|
|
| 「65歳定年制を考える」 投稿特集・インタビュー (03/11/23) |
|
父の同級生も私は何人か知っているが、皆、口では「疲れた」とか「もう年だ」などと言いながらも、見た限りでは元気そのもので、実際、父と同じく自営業者の人はほとんどがまだ現役だ。 長寿時代は定年後の年月が長い。退屈な暮らしが長引けば、元気な人も元気でなくなってしまうだろう。 深刻な不況下では企業が人減らしをしたいのはよく分かる。しかし、働くことが精神的な張りになっている人にとって、それを失うのはつらいし、第一、六十歳前に辞めて六十五歳になるまで収入がなければ、経済的にもやりきれない。定年はなるべく遅いほうが良いと思う。 (三島市、ドラえもん、自営業手伝い、36歳)
成果主義、能力主義を掲げる企業戦略は、まさに人をけ落として受験に合格しようとする受験戦争さながらで、人間性がゆがめられ、一番大切な人間関係の崩壊を招く恐れがあり、ひいては会社の存続にも影響が出てくるのではないでしょうか。定年まで一生懸命働いてきた人たちが、自己責任の名の下で年を取って放り出されるようなことが、決してあってはならないと思います。 私は単に一律に六十五歳定年制を法律的に義務付けることには賛成しかねる思いです。一応、六十歳を定年とし、その後は、年齢に関係なく、働ける人の能力に応じた雇用制度を整えて、若者を圧迫することなく高齢者も活躍できる社会を実現してほしいと思います。 (裾野市、渡辺昭子、主婦、61歳)
定年を延ばすことはやる気のある若い世代の勤労の機会を奪い、職業生活を通じてさまざまな経験を積ませないで社会人として自立できないようにするもので、認められない。これからのこの国を支えていかなければいけないやる気のある若い世代がまっとうな職に就けない状態は、国の将来のためによくないことである。 高齢化社会を乗り越えていくために大切なのは定年を延ばすことではなく、やる気のある若い世代が積極的に前に出て、のびのびと仕事に打ち込んで成長していける環境にし、地域社会に貢献できるようにすることだと感じる。 (磐田郡福田町、伊藤寿克、農業、32歳)
もちろん六十歳を過ぎても働ける体力を持った成人が多くなってきている。年金問題を別にすれば、定年を引き上げることには賛成だ。 しかし、きちんとした未来予想を果たして行っているのかはなはだ疑問の制度が多すぎる昨今、また、その尻ぬぐいを民間に押しつけるのか、という感じがしてならない。 政治は、場当たり的な対策ではなく、将来にわたって縦に長いスケールの視野の下で行っていくべきだ。また、税金の無駄な使い道の有無など、幅広いスケールの視野も同時に持つべきだ。 長寿時代の雇用延長、大いに結構。しかし、そうせざるを得ない状況に至るまでのプロセスにおいて、考えなくてはならないことを無視すべきではない。 (磐田郡、匿名希望、34歳) |
| |||||||||||||
―高齢者雇用を促進するのはなぜですか。 「急激な少子高齢化に加え、男女の雇用機会均等化、外国人労働者の流入など、企業の雇用環境は大きく変化してきました。労働力人口の減少で厳しい状況もありますが、有能な人材確保の好機ととらえ、年齢、性別、国籍によらず、意欲のある人はどんどん採用したい。高齢者雇用は、近隣に大企業が多いため退職者に経験豊富な人材が多く、自然に積極的になった側面もあります」 ―現在、どんな定年制度を採っていますか。 「定年は六十歳ですが、希望者全員を六十五歳までパート社員として再雇用しています。六十歳以上の外部採用も行っています。従業員二百六十九人中、六十歳以上は十四人、5・2%。再々雇用もあり、現在の最高齢者は七十六歳です」―再雇用で勤務形態は変わりますか。 「フルタイム勤務に加え、一日四時間労働の『ゆとりタイム勤務』を導入しています。高齢者がなぜ働き続けることを望むかと言えば、社会とのかかわりを保ち、生活のリズムを作りたいといった理由も大きい。フルタイムで働く必要がない人もいます。そこで一つの業務を午前、午後と二人でこなしてもらうワークシェアリングを導入しました」 ―どんな職場作りを目指していますか。 「高齢者だけでなく、誰もが同じように仕事ができる職場を目指しています。未経験者でもすぐに作業ができる職場作り、言い換えれば作業工程の標準化です。弊社は昭和三十九年から、女性だけで運営する工場を作るなど、女性の戦力化に早くから努めてきました。力仕事の軽減など、女性のために職場を改善してきた経験が、高齢者のための環境整備にも生きています」 ―具体的にどんな改善がありますか。 「今回のコンテストで評価されたのは、作業工程における精神的な負担の軽減です。例えば、機械に部品をセットする単純作業で、待ち時間が長くて何をしていいのか分からないという声がありました。これは精神的なストレスです。そこで、無理のない範囲で他工程にかかわるよう、機械の間隔を詰め、U字型のラインを作りました」 ―他にはどうですか。 「判断に迷う状況をなくし、微調整が必要な作業を減らすための環境整備を進めました。例えばゲージに部品を入れて規格を確かめる検査では、当てただけでは中に入らないが、少し力を加えれば入る、合格なのか不合格なのか判断しかねる状況があるという指摘があったため、検査そのものを機械化しました。またパイプを水中に沈め、漏れがないか確認する検査には、水中ライトを導入しました。従来のライトでは、光が水面に反射して見にくいという声を受けたものです」 ―改善の提案は現場から上がってくることが多いそうですね。 「パート勤務であっても従業員は全員、技能訓練や職場改善も視野に入れた品質管理のためのサークルに加わっています。ここから上がってきたアイデアを具体化することは多い。指導員を配した技能向上のための道場『鍛冶(かじ)屋』も設置し、台車や作業台など、欲しいものを自ら作ることもできます。これらの活動は、教育訓練として時間を確保しています」 ―六十五歳までの雇用を法律で義務付けることをどう考えますか。 「難しいですね。人は、年を取れば取るほど個人差が大きくなる。七十歳になっても能力、気力の充実している人がいる一方で、六十歳を前に衰えの見え始める人もいます。一律に六十五歳まで雇用を保障しろと言われても厳しいでしょう」 |
![]() |
|
■次回30日=日曜日は「図書館にベストセラーは必要か」 インタビュー 次回のテーマは「図書館にベストセラーは必要か」です。出版不況の中、図書館の貸し出しは昨年度、過去最高を記録しました。図書館がベストセラーを多く貸し出していることが、書籍の売り上げに影響を与えているという声もあります。また著作者の立場からは、ベストセラーの大量貸し出しに、欧州のような補償金制度を導入すべきとの声も上がっているようです。ベストセラー問題を中心に、図書館に求められる役割を考えます。 |