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「静岡は住みやすいか?」  留学生座談会・インタビュー  (04/01/11)

新しい年が明けました。今年最初のトークバトルは「静岡は住みやすいか?」です。年初のお参りに、暮らしの安心や楽しみを願った人も多かったのでは。温暖な気候と自然に恵まれ、住みやすいと言われてきた静岡ですが、皆さんの実感はどうですか。第一回は、静岡大大学院人文社会学研究科の留学生三人に、静岡での学生生活を語ってもらいます。また、米国シアトルに駐在経験のある東海澱粉(静岡市)の細川晃広さんに、現地生活を通じて感じたことなどをインタビューしました。


(左から)許作義さん(中国浙江省出身。静岡大大学院人文社会学研究科法律経済専攻1年。28歳。静岡生活4年半)。張銘今さん(台湾台中市出身。静岡大大学院人文社会学研究科法律経済専攻1年。26歳。静岡生活2年)。ザヌカ・ニラウラさん(ネパール出身。静岡大大学院人文社会学研究科比較地域文化専攻2年。34歳。ネパール人の夫と子どもと3人暮らし。静岡生活2年)



治安よく、交通が便利


―静岡の住み心地はどうですか。

 ものは豊かで、人も親切。気候も穏やかで住みやすいと思います。

 治安もいいですよね。わたしは台中出身ですが、夜、町中を一人で歩くのは怖いこともあります。静岡は深夜でも心配は少ない。

ニラウラ 町がきれいなのも好きです。手が行き届いている感じですね。

―生活上、特にいいと思うことは何でしょう。

 都市のインフラの整備はすばらしい。特に交通は便利。高速で移動に時間がかからないし、ダイヤも正確。

ニラウラ ネパールのバスは混雑していて、乗るのに苦労することも多い。押し込まれて危なかったり。日本のバスは快適です。

 確かに日本の公共交通機関は、台湾と比べて断然正確で便利です。

ニラウラ 電車に限らず、日本人は時間に正確ですね。ネパールでは結婚式でも、例えば二時と言ったら四時ごろ始まる。

 時間を守るのは日本のすばらしい生活文化だと思います。

―物価はどうですか。

 交通費が特に高く感じます。電車もバスも中国人の感覚だと四倍くらいかな。

ニラウラ わたしもそう思う。北海道に行ってみたいのですが、ネパールまで帰れるくらいお金がかかる。

 家賃はまあまあだと思います。中国と直接比較したら高いけれど、日本人の収入で考えれば普通なのかなと。

―住環境は。

 アパートの間取りはちょっと窮屈ですね。

ニラウラ 2DKに夫と子どもと三人暮らしですが、同じアパートに四人で住んでいる世帯もあります。日本人は物もたくさん持つし、大変ではないかと思います。

 台湾は日本のようなアパートは少ない。単身なら、寝室が複数あるフラットを何人かで借りて、一緒に住みますね。

―ごみの分別などは大変ですか。

ニラウラ 静岡はそれほどだと思いませんが、名古屋に住む親せきは、ごみの分別が複雑すぎて大変だとよく言います。

 確かに分別は厳しい。環境への配慮が進んでいるのだと思います。

―大学生活で感じることはありますか。

 授業に出ていれば、単位を取ること自体は難しくない。寮での日本人学生の生活を見ていると、あまりがりがり勉強している感じではないですね。

 勉強は正直、それほど厳しくない。ノルマがなく、やってもやらなくてもいい感じ。院生もやる人とやらない人の差が激しい。中国の大学はもっと厳しいですよ。

 人間関係が薄いと思うこともあります。ちょっとしたことですけれど、例えば一緒の部屋に二人でいて、一人がお弁当を食べ始めたとして、台湾人同士なら、相手にも勧めます。日本人はそういうコミュニケーションをしませんね。忙しくて余裕がないのかな。昼休みも短いですしね。

ニラウラ でも人と関係を作るのは、少しの時間でできること。気持ちの問題ですよね。

 外国人に対する心の壁もあると思います。やはり単一民族の国だからでしょうか。

ニラウラ 自分たちが外国人だということを強く感じることは多いです。

 わたしは寮暮らしですが、寮のない大学に通う台湾人の友人の中には、アパートを借りるのに日本人の保証人が必要と言われ、苦労した人もいました。



女性の就労環境に遅れ


―ニラウラさんはお子さんがいるそうですね。学校はどうですか。

ニラウラ 行事などで学校に呼ばれることが多く、大変です。学生のわたしでもそうですから、仕事のある人は苦労しているのでは。それから始業が早いので、朝は落ち着いていられませんね。あとは宿題が少ないのも気になります。

―日本での母親業は大変でしょうか。

ニラウラ 日本では子どもの面倒は母親が見るものという意識が強い。母親に対する心理的なプレッシャーはすごいですね。子どもが小さなころは母親は家にいるべきという考えも強いみたい。

 企業の女性に対する意識は、中国の方が進んでいるのではないかと思います。日本では産休、育休は必ずしもすべての会社で取れるわけではないと聞きますから。中国では子どもが産まれても、母親が仕事を辞めることは少ない。

―ほかに生活の中で、違和感を感じることは。

 日本人の話し方です。そうかもしれない、などと断定を避ける。文化の違いですが、本当はどう思っているのか伝わってこない。

 仕事や生活の様子に、余裕のない感じがありますね。

ニラウラ 子どもに甘いと感じます。親子が友達みたい。ネパールではたとえふざけてでも、子どもが親をたたいたりするのは考えられません。





東海澱粉水産1部凍魚グループ課長
細川 晃広さん
東海澱粉水産1部凍魚グループ課長
細川 晃広さん

ほそかわ・あきひろ氏  一九九五―二〇〇〇年まで、米国シアトルに東海澱粉の現地法人副社長として勤務。
高すぎる日本の交通費

―シアトル赴任中はどこにお住まいでしたか。

「シアトルから高速道路で二十分くらいの距離にある、ベルビューという町に住んでいました。森に囲まれた自然の豊かな町です。家の造りや土地の区画も日本に比べるとゆったりとして、住環境は恵まれていました。治安も良かった。ただシアトルは、場所によっては、気を付けろと注意される地区もありました」

―物の値段などはどうでしたか。

「静岡の方が高く感じました。向こうは高速道路も無料でしたし。日本は交通費が高すぎますね。それからわたしはゴルフが趣味ですが、安いところなら十五ドルくらいからラウンドできました。大金をかけなくても、気軽に余暇を楽しめる環境が整っていましたね」

―ほかに日本に比べて特に安価だと思ったものはありますか。

「車の免許取得費用ですね。子どもが二人現地で取りましたが、日本のように何十万もかかることはありません。英語の勉強のためにと自動車学校には通わせましたが、それでも費用は二百ドルくらいでした。運転は親が横について駐車場で練習させて、仮免許で公道を走らせて、一発勝負で試験を受けに行く。それで十分だと思いました」

―そのほかに何か、便利だと思ったことは。

「日本と違ってあまり現金を持つ習慣がないのは、慣れれば便利でした。ほとんどは小切手とクレジットカードで、スーパーで食料品を買ったりするときも、小切手を切るのが一般的。細かい金が出ないのはよかったですよ。それから夏時間が導入されているのもいいですね。夏は午後九時すぎまで明るくて、仕事が終わった後、好きなことができました」

―ご家族で赴任したそうですが、教育面はどうでしたか。

「子ども二人が現地の高校を卒業しましたが、学校生活に慣れるまでの間は、学校がサポート役にボランティアの生徒を付けてくれて、なじみやすかったようです。教育上感心したのは、大げさなほどほめるところ。いいところをとことん伸ばそうという考えがある。日本の学校では、例えばスポーツはできても勉強がだめだと、なかなか認められないでしょう」

―生活していて気になることはありませんでしたか。

「日本人に対する差別、というのはさほど感じることはありませんでしたが、人種に対する偏見は実は根深いのでしょうね。白人しか入れないテニスクラブなどもありましたから」

―日本の方がいいと思ったことはありましたか。

「時間を大事にすることでしょうか。むこうは店などにもあまり時計がなくて、時間の感覚は日本に比べれば緩いですね。仕事をする上では、時間に正確なのはいいことです。米では飛行機などが遅れることも多い」

―ほかに何か発見があれば教えてください。

「不動産に対する感覚はだいぶ違いますね。日本では家は自分で建てるもの、一生の買い物という感覚ですが、アメリカでは若いうちから買って、年齢に従って買い換えていく。また、いかに早く金を稼ぎ、早くリタイアして自分や家族の時間を作るかという意識が強いようですね。保険会社がリタイアメントプランをよくテレビCMで流していました。わたしの性には合いませんが、そういう生き方もあるのかな、と思いましたね」




■次回18日=日曜日も「静岡は住みやすいか?」 インタビュー

次回も「静岡は住みやすいか?」です。今回は日本に住む留学生や海外生活の経験者に内外の生活の違いなどを語っていただきましたが、そもそも「住みやすさ」とは何なのでしょうか。次回は、一昨年、国が作成した「暮らしの改革指数」の目的やデータが示す日本の暮らしの現状について、内閣府国民生活局の担当者に聞きます。市民参画のまちづくりを目指して活動する「浜松市民まちづくりの会」の中野和幸さんにもお話を聞き、「住みやすいまち」づくりのために必要なこと、すべきことを考えます。


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