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| 「他人事ではいられない!どうなる裁判員制度」 インタビュー (04/02/22) |
| トークバトル「他人事ではいられない!どうなる裁判員制度」の第三回は、主に守秘義務に焦点を当ててみました。裁判員が評決や意見の内容を外部に漏らすと、懲役刑になることもあるというのが政府の見解です。船山泰範日本大法学部教授と「市民の裁判員制度つくろう会」代表世話人の片山徒有氏にうかがった意見とともに、政府骨格案に対する日本新聞協会の見解も紹介します。 |
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厳格な守秘義務 当然 重い刑罰には反対 ―政府骨格案では守秘義務違反に懲役刑が含まれました。どう評価しますか。 「守秘義務を負うのは当然だが、重い刑罰を科すのは別の問題。基本的には罰金だけでいいし、どんなに重くても弁護士や医者が秘密を漏らした場合に適用する刑法上の秘密漏示罪の懲役六月以下を超える必要はない。政府内では国家公務員並みの懲役一年以下が有力とも聞くが、それには反対だ」 ―守秘義務の範囲はどの程度までと考えていますか。 「裁判員が窮屈ではないことなどを知らしめるためにも、感想程度なら構わないだろう。しかし、裁判員制度を定着させるためには、評決や意見の内容は明らかにすべきでない。誰が何を言ったかが明らかになると、非難やマスコミの攻勢にさらされる恐れがある。そうなると、自分は裁判員になりたくないという人が出てくるだろう。守秘義務が守られて初めて裁判員として自由な発言ができる」 ―政府も同様の見解のようですが、自分が有罪、無罪のどちらを支持したかも明かすべきではないということですね。 「そうです。何人かが自分の意見を言った一方で、黙っている人がいれば、おのずと結果を推測させる。判決に反対意見の人が自分の意見を言いたいのはやまやまかもしれないが、表現の自由の問題ではない。裁判官も最高裁では少数意見を明らかにすることがあるが、下級審では意見を明らかにしていない」 ―裁判員の出頭義務に関しては、国民から不満も上がっていますが。 「今まで日本にない制度だけに、義務が強調されているが、むしろ国民の権利としてとらえるべきだ。現実的には当面は義務的規定を設けて、裁判官の裁量で辞退をある程度認めることが必要かもしれないが、本来は進んで参加する気持ちを持たなければならない。今の裁判を改めるために必要な権利だという法学教育が大切だ」 ―今の裁判にどんな問題があると考えているのでしょうか。 「裁判の傍聴を何十年も続けてきたが、居眠りしている裁判官や、ぼそぼそ声で話す検察官を大勢見てきた。現在の刑事法廷では裁判を聞いていなくても、後で調書を読めば良いからだ。弛緩(しかん)した刑事裁判に新しい風を吹き込む方法は、国民参加しかない。裁判員制度では検察官も裁判員に分かるような証拠を出さなければならないし、判決も分かりやすく簡略になるだろう。刑事裁判全体が国民に分かりやすくなることが期待できる」 ―政府骨格案での裁判官三人、裁判員六人という人数比をどう評価しますか。 「多面的な物の見方を反映させる必要があることと、職業裁判官に対抗して意見を述べるやりやすさから考えると、裁判官の数に比べて裁判員の数が相当程度多い方がいい。三対六は悪い数ではない」 ―素人の裁判員は正しい判断ができないのではないかとの意見もありますが。 「裁判官も国民も感情の動物だし、正義の感情は国民の方が裁判官以上に持っている場合がある。民主主義的考え方からすれば、国民こそ基本となるべきで、法律家でなければならない必要はない。議員は国民の審判を受けているが、裁判官は最高裁裁判官の国民審査を除いて国民の審判を受けていないことの方が問題だ」 |
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体験や意見公表 法で縛る必要はない ―守秘義務の規定をどう思いますか。 「私たちの会が実施したアンケートでは『プライバシーが保護されれば、メディアに意見を述べても良い』との回答が七割以上を占めた。裁判員としての貴重な体験を話したいという人を法で縛ることには反対。立場上知り得たプライバシーは守らなければならないが、罰則ではなくモラルで解決すべきだ」 ―守らなければならない部分とはどの程度までと考えていますか。 「解剖記録や鑑定書などの中身を面白おかしく言ってほしくない。本当にそういう証拠が必要かも議論になるだろう。次に証人のプライバシーに関すること。今の裁判では確定記録で証人の住所、氏名まで分かってしまう。それ以外なら自分がどんな意見を言って、どう感じたかということは何を言っても構わないのではないか」 ―評決が何対何かも明らかにして構わないという意見ですね。 「もちろん。自分の意見が取り入れられたかどうかを含めて、きちんと言って良いと思う。誰がどういう判決を下したのか分からないと、裁判員への不信にもなるし、裁判員制度のハードルが高くなってしまう。自分が意見をきちんと言ったことを知らせることも責任の範囲に入ると思う。検察審査会の議事録も非公開なのはおかしい。間違った事実認定で間違った評決になったら、多くの市民や当事者が誤りを指摘できることが大事だ」 ―政府骨格案では、辞退の条件に仕事や介護が加えられました。 「国策として市民が司法に参加するのだから、より積極的に参加しやすい環境づくりが必要だ。会社に対する補償は不十分だし、『裁判所に託児所を』という私たちの主張も取り入れられなかった。日当も今の議論では低すぎる。裁判官と同じだけの責任があるのだから、同等の報酬をいただきたい。義務やボランティアにすべきではない」 ―裁判員制度はコストがかかりすぎるという批判もありますが。 「私は裁判員制度導入の結果、犯罪そのものが劇的に減ると思っています。今は多くの人が犯罪に無関心で、犯罪を繰り返す人が多い。裁判員制度の導入で、犯罪を犯した人を知れば、見方もやさしくなるだろう。検察審査員経験者から話を聞くと、地域の安全や社会問題に敏感になったという方が多い。犯罪抑止になるならば、予算を掛けることは間違いではない。被告人が更生したかどうかを、判決を出した裁判官と裁判員が確認し、社会復帰させる仕組みも必要だ」 ―裁判官と裁判員の人数比については、どう評価していますか。 「スタートラインとしては良いが、できれば裁判官を一人にして、市民をさらに増やしてほしい。私たちの会は五百人が参加して模擬裁判を行ったが、裁判官一人対裁判員十一人の時が最も自由に発言できた。感情的になる人がいても、他の方がきちんと受け止めていた。市民をもっと信頼してもらっていい」 ―被害者の遺族としての経験から、今の裁判にどんな問題を感じていますか。 「多くの犯罪被害者の相談を聴くと、まず調書の内容が被害当事者にさえ理解できないケースが圧倒的に多い。警察、検察の立証のほとんどすべてが形式的に行われてしまうという根本的な問題がある。まず捜査の方法から根本的な開示責任を採り入れなければ、分かりやすい法廷にはならないだろう」 |
日本新聞協会編集委員会は十三日、裁判員制度の骨格案に対する見解をまとめ、政府の司法制度改革推進本部に提出した。全文は次の通り。 裁判員制度についての政府の骨格案(裁判員制度の概要について)が一月二十九日公表された。同案に対する日本新聞協会の見解を述べたい。 日本新聞協会は昨年、司法制度改革推進本部事務局から提示された「裁判員制度のたたき台」(原案)に対する見解(二〇〇三年五月十六日付)で、「報道の自由」を制限する恐れが強い「偏見報道の禁止」規定の全面削除を求め、裁判員等に課せられる守秘義務についても範囲、期限を明確にすべきとした。また裁判員等に対する接触規制については「裁判員等を退いた人までの一律禁止は弊害が多い」と指摘し、裁判員等の個人情報保護についても、すべてを非公開としないよう、さらなる検討を求めた。 今回の骨格案では「偏見報道の禁止」規定が削除されるなど、当方の主張が入れられた部分もあるが、守秘義務の範囲、期限が明確化されていないことや、過去に裁判員等だった人を接触規制の対象にするなど、日本新聞協会が指摘したその他の部分では、なお不十分な点が多い。今後更に論議を深め是正されることを要望する。 なお、裁判員制度の順調な実施にからんで、司法制度改革推進本部が先に公表した「刑事裁判の充実・迅速化」の骨格案が、被告人や弁護人に対し、開示された証拠の目的外使用を罰則付きで禁止している点【9開示された証拠の目的外使用の禁止等(1)目的外使用の禁止】についても、「取材の制限」につながる危惧(きぐ)が大きいと考えている。この点も改めて付言しておきたい。 |
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■次回(29日=日曜日)は「他人事ではいられない!どうなる裁判員制度」投稿特集 裁判の傍聴を長年続けてきた船山教授と、息子隼君を交通事故で失った片山氏は、守秘義務に関する意見こそ対照的でしたが、現在の刑事裁判に問題を感じ、裁判員制度の必要性を訴えている点では共通していました。次回のトークバトルは「他人事ではいられない! どうなる裁判員制度」投稿特集です。もし自分が裁判員に選ばれたり、万が一にも被告や原告になったりしたらどうでしょうか。積極的なご意見をお待ちしています。 |