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| 「驚き?妥当?発明対価200億円」 インタビュー、アンケート (04/03/14) |
| 日亜化学工業の青色発光ダイオード(LED)、日立製作所の光ディスク関連技術、味の素の人工甘味料製造技術―。職務発明の対価をめぐる訴訟は後を絶たず、企業に巨額の支払いを命じる判決は、関係者にさまざまな課題を突きつけています。職務発明と報酬を考える第二回は、知的財産管理部門を持つ全国の企業約二百社で作る日本知的財産協会に、特許法の改正問題を含め、企業の立場を聞きました。また、県内企業が社員の発明にどう報いているか、その制度一覧とともに、光の先端技術開発で知られる浜松ホトニクスから寄せられたコメントを紹介します。 |
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企業の裁量に任せるべき ―企業に高額の発明対価の支払いを命じる判決が相次いでいます。 「発明は企業のノウハウや設備、人材の助けなしにはあり得ない。研究開発はチームワークが原則だ。企業は限られた資源で、一人の天才だけでなく、すべての研究者をきちんと処遇しなくてはならない。巨額の支払いを命じる一連の判決は、企業の経営裁量に制限を加え、常にばく大なコストを抱えるリスクを強いるため、日本企業の競争力を低下させることにもなりかねない」 ―企業には報奨金制度を見直す動きもあります。特許法で認めた「相当の対価」の相場は上がっているのでしょうか。 「それは違う。今、一部の企業が取り組み始めているのは、発明を奨励するためのインセンティブ(報奨)の部分。裁判で争われているのは、企業の利益などから算定した発明対価としての補償金だ。優秀な発明は企業の生命線で、企業も重要性は十分認識している。制度見直しは、できる範囲で発明者に報いていこうとする姿勢の表れだが、それで対価の相場が高まったと見るのは認識違いだ」 ―実績主義、成果主義の導入が進む中、高額報酬は当然の流れという意見もあります。 「高額報酬を認めるなら、契約や出来高払いなど、従来と異なる雇用形態を取り入れていく必要がある。不安定雇用のリスクを負うなら、他の従業員も納得するだろう。しかし、若い研究者を育てるには、従来型の安定的な雇用は重要だ。研究者が一番に望むことは、研究費、研究員の充実を含めて環境が保証され、自分のやりたい研究ができることだということも忘れてはならない」 ―諸外国の状況はどうなのでしょうか。 「米などには特許法に職務発明の規定はなく、権利の扱いなどは企業と個人の契約で決められる。一方、ドイツや中国などは、日本と同様規定があり、ドイツには対価算定の詳細なガイドラインがある。国際標準がある訳ではなく、国ごとの実情に応じて対処しているということだ。対価としては、研究者が優遇されていると言われる米国でも、多くて日本円にして一千万円くらいだと聞く」 ―職務発明と対価の決定は、日本ではどうあるべきでしょう。 「米国並みに、企業の自由裁量に任せるべきだ。訴訟の根拠となっている特許法三五条の規定は、労働環境が悪かった八十年も前の大正時代のもので、現代の企業活動に適用するには無理がある。また、法律の縛りが強いドイツでは、多くの企業が紛争を抱え、訴訟リスクを回避するため近隣国に移転する例もあると聞く。現行制度のままでは、将来的に海外企業が日本進出を控えたり、移転したりすることも考えられ、日本にとって大きなマイナスだ」 ―特許法改正の政府案をどう評価しますか。 「職務発明に関し、従業員の意見を反映して作った取り決めを尊重するという原則は評価できる。しかし、取り決めに合理性がない場合は、裁判所の判断にゆだねるとしたのは疑問。何が合理的かという判断は、最終的には裁判所がやるしかないだろう。結果的に訴訟は減らないのではないかと危ぐする。裁判所が法改正の趣旨を踏まえ、時代に沿った判断をしてくれることを期待するしかない」 ―法改正によって、企業にはどんな対応が求められるのでしょうか。 「企業には戸惑いがある。政府案で決まったとして、合理的にやれと言われても、具体的に何をしておけばいいのか分かりにくい。特許庁は逐条解説や、合理性の判断についての事例集を作ると言っているが、本来ならこの程度の対応が必要だというガイドラインが必要。協会としてもガイドラインを作る計画だ」 |
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職務発明の成果は、先人の積み上げた知識が基になっているばかりでなく、開発に携わったすべての技術者、製品を販売した営業、間接部門などの幅広い支えによって成り立っていて、一人のものとは考えにくい。 また、日亜化学工業のように一つの発明が社運を左右するような事態は特殊なことだ。わたしたちは人類にとって未知未踏の領域を追求して、新しい知識を見つけることに真の価値を見いだし、特に光の分野でそれを従業員全員で実践してきた。社内には自由に試作研究できる風土があり、従業員が自己実現しやすい環境を整えている。 また、社の利益を従業員に還元する仕組みとして、業績の良い時に業績賞与を上乗せ支給し、従業員持株会を通じて株式の購入を推進している。株主会は7%を超える筆頭株主で、全従業員の85%が出資している。在籍期間が長くなれば出資額は増え、個人が社とともに発展しているという一体感も高まる。 このように、個人と社が一体になって研究開発を進めているが、その中でも突出した利益に結びつくような発明があれば、実績補償金という制度で対価を支給するだけでなく、会社の発展に力を発揮できるような処遇もする。しかし、職務発明のほとんどは事業として多大な成果には結びついていない。 日亜化学の判決は、研究や特許出願における会社のリスクがまったく考慮されていない。膨大な特許の中で、実際に利益を上げるものはわずか。しかしその多くの特許が生まれるまでには、ばく大な研究費、特許費がかかる。今回のような個人の発明に対する高い比率の対価を認める判決は解せない。企業に所属していたからこそできた研究開発で、高額な見返りを要求するなら、研究開発の時点で自分で会社を興すべきだろう。
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県内企業は発明にこう報いている 県内に本社を置く東証1部上場企業のうち、製造業16社にアンケートし回答を得た ◆浜松ホトニクス 導入時期:昭和62年4月 上限額:なし 制度概要:特許出願時3000円、登録時6000円に加え、特許実施や運用によって会社が得た利益が顕著な場合、関係する事業部などの申請により審議の上、支給する 適用実績:平成15年9月期で出願補償250件(75万円)、登録補償80件(48万円)、実績補償適用なし 研究開発費:81億1300万円(売上高の15.2%、単体、平成15年9月期実績) 拡充検討など:判決、法改正を考慮に入れ、見直しが必要か検討する ◆スズキ 導入時期:不明 上限額:非公開 制度概要:特許出願時、登録時、多大な実績が出た場合の3段階で支給 適用実績:非公開 研究開発費:700億円(3.3%、連結、平成16年3月期予測) 拡充検討など:判決を受けて、枠組みの見直しを検討している ◆焼津水産化学工業 制度は特になし(賞与の考課で特別賞として報奨) 研究開発費:3億3003万円(2.3%、単体、平成15年3月期実績) 導入検討など:平成16年度中の導入を検討している ◆ヤマハ発動機 導入時期:昭和46年、その後数回の改訂。最近の改訂は平成15年4月 上限額:なし 制度概要:(1)特許出願時、登録時に補償金(2)出願特許中、優秀な発明に対し発明奨励(3)ライセンス料取得や独占実施など特許により、実際に価値実績が生じた場合に実績報奨 適用実績:平成15年4月以降、1人に支払われた最高額150万円 研究開発費:193億5500万円(3.18%、単体、平成15年3月期実績) 拡充検討など:特許法改正の動向を見定め、適切な見直しを予定 ◆ヤマハ 導入時期:昭和62年10月 上限額:なし 制度概要:特許出願時、登録時、実施時(他社とのライセンス契約含む) 適用実績:出願、登録報奨については全件に適用。実施報奨については毎年、保有特許全件について、実施状況を調査して報奨。年間300件前後 研究開発費:227億円(4.19%、連結、平成16年3月期予測) 拡充検討など:法改正、判決などの動向を踏まえて制度見直しを検討 ◆スター精密 導入時期:平成9年3月 上限額、制度概要、適用実績:非公開 研究開発費:21億7000万円(5.6%、連結、平成15年2月期実績) 拡充検討など:諸状況を見極め、検討もあり得る ◆エンシュウ 導入時期:昭和46年4月 上限額:16万円、ただし、特に優秀と認めれば上限なし 制度概要:(1)特許出願時、登録時、4年以上継続した特許への実績報奨を検討する(2)職務発明審査会(隔月)を開き、社内発明の審査、報奨検討などを行う 適用実績:年間50万円程度、特許出願は20―30件 研究開発費:2億5000万円(1.7%、単体、平成16年度予測) 拡充検討など:よりインセンティブを高めるため、年内見直しを予定 ◆米久 導入時期:平成14年12月 上限額:非公開 制度概要:職務、業務発明に対する対価の支払い 適用実績:10件 研究開発費:1億2600万円(0.1%、単体、平成15年2月期実績) 拡充検討など:内規のため、柔軟に運用している ◆スルガ 導入時期:平成11年4月 上限額:1億円 制度概要:新製品の売上高が設定基準を超えた場合、超えた金額により報奨金を設定 適用実績:年間数件。最高額200万円 研究開発費:2億3700万円(2.6%、連結、平成15年3月期実績) 拡充検討など:具体的な見直し予定はなし ◆共和レザー 導入時期:昭和36年11月 上限額:非公開 制度概要:特許、実用新案、意匠および商標などの工業所有権設定登録出願等に対する従業員の関心を高め、発明考案等を奨励し、社業の進展に資するために賞金を与えて褒賞する 適用実績:非公開 研究開発費:非公開 ◆富士機工 導入時期:平成9年3月 上限額:1件当たり10万円 制度概要:報奨の対象は特許、実用新案、意匠。出願と登録の2回行う。ただし、登録は製品に採用されていることが条件。出願の金額は固定だが、登録は特許の貢献度に応じた6段階評価で、金額も1万―10万円と幅がある 適用実績:出願は約200件、最高額1件4000円。登録の適用数は約80件、最高額は1件7万円 研究開発費:単体売上高の3.2%(2002年度実績、03年度計画とも) 拡充検討など:上限額の見直しと、技術、ノウハウの流出防止から出願をしていない工法等の発明への報奨を来年度検討したいと考えている ◆河合楽器製作所 導入時期:昭和45年3月 上限額:なし 制度概要:特許出願時、登録時に補償。実績は利益に応じて支給。上限なし。原則1回のみ支給 研究開発費:8億7900万円(1.2%、連結、平成15年3月期実績) 拡充検討など:特許法改正の動向を見守っている状況 ◆東芝機械、特種製紙、ローランド・ディー・ジー、旭テックの4社はいずれも非公開
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■次回(21日=日曜日)も「驚き?妥当?発明対価200億円」投稿特集 インタビューはどうでしたか。一連の特許訴訟の根拠となっている特許法35条は、時代にそぐわず、企業には不利な規定であるとの指摘もありました。判決や法改正の動きを受け、多くの県内企業が、補償、報奨制度の見直しを検討していることも分かりました。次回は投稿特集です。相次ぐ特許訴訟の巨額判決に、あなたは納得しましたか、それとも疑問を持ちましたか。奮ってご意見をお寄せ下さい。 |
■SBSテレビ・ラジオと連動■静岡新聞社と静岡放送は連動企画「トークバトル・合併の主役は誰?」を展開します。新聞はこのページで次々回(28日付)から「市町村(まち)の在り方」と題して特集を展開します。 バブル崩壊以降の企業もそうですが、平成の大号令の下、列島で大きな動きをみせている市町村合併。県内でも静岡市と旧清水市の合併に次ぎ、御前崎市、伊豆市が間もなく誕生し、他市町村も論議が活発化しています。その検証と現状、課題をテレビ、ラジオ、新聞の3メディアが連動して探っていきます。 |