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| 新聞・テレビ・ラジオ連動企画「合併の主役は誰?」 対論(1) (04/3/28) |
| 今回は静岡新聞社と静岡放送の連動企画「トークバトル・合併の主役は誰?」です。平成の市町村大合併もいよいよ佳境。県内でも四月一日には御前崎市、伊豆市が誕生し、他市町村も論議が活発化しています。県内の先陣を切っての合併から間もなく一年を迎える静岡市の宮城島弘正副市長(旧清水市長)と、合併しないで個性的なまちづくりを目指している湖西市の山本昌寛市長に、「市町村(まち)の在り方」について、率直な意見をうかがいました。 |
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―湖西市にとって、政令指定都市はなぜ魅力にならなかったのでしょうか。 「地方分権時代の要請は『市民自治』だと考えます。それにはできるだけきめ細やかで小回りのきく、顔の見える行政が必要で、それを本市は目指そうということです。政令市の特色は大きな権限、財源があること。また、多分スケールメリットという点でも有効でしょう。しかし、特に福祉の分野では『あの独り暮らしのおばあちゃんは今どうしているだろう』などと目が届くことが大切で、大きくなったからできるとは限りません」 ―財政力が豊かだから、合併しないということではないのですか。 「最初から財政力のことを考えていたわけではありません。環浜名湖政令市構想に参加するかを市民の皆さんと共に検討する中で、『市民自治』が大切だという気持ちが強くなってきました。合併にしろ自立にしろ、市町村にとっては辛苦の道。総務省は自立、個性、競争と言っていますが、どうも合併ありきで自立とは何かということが忘れられている気がします。合併の前に地方自治体の在り方をもっと議論すべきでは、と思います」 ―平成の大合併の目的は行財政改革だと言われています。合併しなくても改革はできるということですか。 「当面はそれぞれの市が事業を徹底的に見直すことがまず必要だと思います。効率的事務、節約、無駄のない行政、そして市民ニーズとかい離のない行政サービスをしなければなりません。当市ではいかに効率的に製品を作るかという企業の発想を取り入れ、TQC(トータル・クオリティ・コントロール)活動を行ってきました。市役所でISO14001環境認証を取り、電気やガソリンの節約にも取り組んでいます。職員意識の改革も大事な行政改革ではないかと思います」 ―企業からの税収が多い湖西市ですが、産業形態は今後変わる可能性があります。財政の見通しは大丈夫ですか。 「財政力指数は昭和六十年以降、一以上を維持しています。平成二十二年度まで税収は微増を見込み、交付税に頼らず自立できるとシミュレーションしています。ごみ焼却場建設などで、かつては年間二十六億円ぐらいあった市債の発行も、この三年間は年間おおむね十億円以内に抑えており、平成十七年度は起債制限比率も10・6%になると見込んでいます。産業形態は日々変わっており、合併しても同じ問題はあると思います。来年度当初予算においては、法人市民税の税収48%の伸びを見込んでいますが、今後、逆のこともありうるかもしれません。しかし、そこは行政が施策で努力する点もあるのではないかと思います」 ―ごみ、消防、病院などの広域行政は今後どうするつもりですか。すべて単独運営するとなると、財政負担が厳しくなりませんか。 「いろんな条件があるので、単独運営が厳しいかどうか即答できませんが、そもそも自治体がすべてにおいて自己完結型でなければならないとは考えておりません。広域行政の場合、時には衝突するかもしれませんが、日頃の連携に対する意識の積み重ねが大事になるのではないでしょうか。当面、浜松市といかに連携していくか、本市にとって最重要の課題であると考えております」 ―市町村の競争時代、大都市の魅力に打ち勝つにはどうしたら良いと思いますか。 「魅力を発揮するためには、質の高い市にしなければいけません。質が高いことの要件とは何かを来年三月に完成させる政策ビジョン『湖西ウエイ』で示していくつもりです。当市の人口は四万五千人ですが、昼は約七千人程度多い。浜松、豊橋から通勤している人が住みたいなと思う施策をやらなければなりません。今の若者は必ずしも都会志向ではなく、都会は遊ぶ所、住むのは田園がいいという人も多いのではないでしょうか。また、人間は生まれた所が安心して暮らせる所ということも大事にするなら、地域の文化・伝統を大いに守らなければならないと考えています。四月早々に市民参画のまちづくり会議をスタートさせ、九月までに『湖西ウエイ』の骨格を示すつもりでいます」 |
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―旧静岡市、旧清水市の合併から一年間の評価をお願いします。 「市民生活に混乱を与えることのないようスムーズに新市に移行すること、政令指定都市を確実に実現させること、この地域の将来の発展的方向を目指した流れや取り組みをしていくこと。これがそろうことで合併の成果が出てくる。スムーズな新市移行は大体うまくいったし、確実に政令市が実現する。これも非常に大きな成果だと思う」 ―合併による効果は具体的に見えてきましたか。 「例えば職員はもう百人ぐらい減った。人件費だけで十数億円の合理化効果が出てきている。もう一つ、大きなテーマだったのは清掃工場。三百億円かかると言われていた清水の三百二十トンの清掃工場の建設をやめて、もともと再整備予定の静岡の清掃工場を百トン増強することで、二百億円の経費節減になった。問題はそこで出てきた財源や、不要になったものをどう生かして、この地域の市民の幸せを実現するかということ。例えば今、アリーナの建設を清水でやろうとしている。合併による重点化や地域の特徴が現実になって、市民が良かったなと思うには時間が必要。非常に難しいのは、静岡、清水の意識が一つになって進むにはどうしても五―十年、時間がかかるということ。そうならないと、本当の一体感とか、メリットになっていかない」 ―なぜ政令市を目指して合併する道を選んだのですか。 「政令市を目指すのは、自立型の都市という意識を持つことに意味がある。県や国を頼りにしたり、損得を考えたりしているようではいけない。今はみんなが車を持ち、昔に比べて行動範囲が全然違う。仕事や買い物、学校など、行動範囲が広がっている。行政が狭い範囲で頑張ることが、市民生活にとってどうなのかということだ。学区、福祉、防災にしても、自分の地域だけで将来を考えられない。やはりある圏域で自立した都市を作っていくわけだ。お互いに力を合わせないと、結果として市民の税金の無駄遣いを助長することになる」 ―財政状態が良い市町村なら、合併の必要はないと思いますか。 「今、財政が良いから合併しないという選択をしても、未来永劫(えいごう)続くとは限らない。将来、合併しなければならなくなった時にはチャンスを逃す。昔は清水も静岡より財政が良かった時代があった。昭和四十年代に静岡との合併をやめて清水が良くなったか。あのころは景気が良く、草薙周辺に県庁や市役所、新幹線駅、モノレールを造るプランもあった。実現していれば、この地域に百万都市ができていただろう。今の財政より、もっと広く地域を考えて、地域の将来展望を持たなければならない。それが首長の思案のしどころだ」 ―合併すると地域性がなくなるという声をよく聞きますが。 「小さい方の市町村が一番心配しているのは、大きな市の中で埋没してしまうこと。気持ちはよく分かるが大きな問題ではない。自分たちの地域を考える気持ちとか、アイデンティティーを持っていけば、吸収されてなくなる心配を持つことはない。要はやり方、住民の考え方だ。静岡は三区だが、浜松は小さい区をたくさん作って、地域内分権を進める考え方をしている。そういう中で分権を生かした地域づくりを考える議論をもっとしたらいい。大きい方が小さい方に配慮することは大切。そういう気持ちがあれば物事はうまくいく」 ―市街化区域農地の宅地並み課税など、政令市移行に伴う新たな問題も出てきましたが。 「政令市は県と同格なのだから、税制も自由度を持てるようにすべきだ。一律に何でも縛ってしまう時代ではない。静岡、浜松が政令市になれば、県の役割も変わる。政令市では県税を減らして市税を増やし、県議の数を減らすということを国も考えるべきだ。政令市は完全な全国ブランド。障害者スポーツ大会『わかふじ大会』の入場行進で、北海道の次に札幌市が出てきて、なるほどと思った。福祉は県から権限を移譲しているから、政令市も県と対等にチームを編成してくる。政令市にはそういう意味もある」 |
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■来月4日、SBSテレビで特番■静岡新聞社と静岡放送は、連動企画「トークバトル・合併の主役は誰?」を展開します。新聞、テレビ、ラジオがそれぞれのメディアの特性を生かして、市町村合併を考えます。SBSテレビは4月4日午前10時―10時54分、特別番組を企画。識者によるトークバトル「新市・静岡の行方を問う」を展開します。合併について普段感じていること、疑問について一緒に考えてみませんか。率直なご意見をぜひお寄せください。 |