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「女性が本音で語る日本国憲法」   座談会 (04/11/21)

  日本国憲法を見直そうという声が、ここ1、2年の間で急速に高まっています。見直しの是非はともかく、議論が尽くされないまま、物事が進んでいると感じている人も多いのではないでしょうか。いずれにしろ声を張り上げているのは、男性が中心。女性の胸の内が気になります。今回は「女性が本音で語る日本国憲法」と銘打った座談会。年代も立場も異なる県内の女性4人に集まっていただき、ざっくばらんに意見を述べてもらいました。


菅江 真以さん
県立大国際関係学部4年。兵庫県出身。静岡市。21歳。
志田加代子さん
夫、夫の両親、長女、長男の6人家族、蒲原町。44歳。
大嶽登茂子さん
夫、夫の両親、長女、二女の6人家族。沼津市。45歳。
村松 ふささん
夫と2人暮らし。子ども3人、孫2人、ひ孫1人。藤枝市。77歳。


授業で初めて意識

憲法と私

 ―まずは自己紹介をお願いします。

志田加代子さん 「PTA活動を続けている関係で、昨年の入試制度の見直し作業に、一主婦、母親として参加させていただきました。今は静岡城北高のPTA副会長を務めさせていただいています」

大嶽登茂子さん「昨年から自衛隊のオピニオンリーダーを務めています。自衛官ではない国民の立場から一般の方に自衛隊のことを知ってもらい、防衛問題を考えていただく役割を担っています」

 ―なぜ引き受けようと思ったのですか。

大嶽さん「何年か前までは、どちらかといえば自衛隊に興味はなく必要ないと考えていました。自衛官との出会いなどを通じて、自衛隊のことを何も知らないのに感情的にあれこれ言うのはおかしいと自分自身で気付いたのがきっかけでした」

 村松ふささん「私はキリスト教徒です。結婚したのは昭和二十三年。非戦・平和を唱えたため旧制静岡高を追われた教授に、夫婦ともども三十年間、平和のことをたたき込まれました」

 菅江真以さん「大学では国際政治を学んでいます。ゼミの内容は主に米国の政治、外交。卒業論文は中国・台湾問題をテーマにしています」

 ―憲法論議が盛んになってきたのは最近になってからのこと。以前は無関心の人が多かった気もしますが。

 大嶽さん「憲法と聞いて思い出すのは、大学で講義を受けたことぐらいです。当時は、自衛隊は違憲だという教授の解釈をそのまま素直に受け入れていました」

 菅江さん「私も同じです。九条に関してもさまざまな意見や見方があると大学の授業で学んだだけで、自分で深く考えたことはありません」

 志田さん「憲法といえば、学校の授業で憲法の前文を一字一句間違えないように暗記させられました。被害者と加害者の人権について憲法ではどうなっているのかなと何となく思ったことはあります」

 ―村松さんは憲法ができた時のことを知っているわけですね。

 村松さん「当時はキリスト教国の米国が与えてくれた素晴らしい憲法と感じました。九条はまさに聖書にのっとった憲法だと。本当は日本から武器を全部取り上げるのが目的だったかもしれませんが」

理想はすばらしい

九条と自衛隊

 ―九条の話も出ました。九条との絡みでは自衛隊のイラク派遣の期限も迫っていますね。

 大嶽さん「最初に派遣の話を聞いた時は、時期尚早だと思いました。もっと自衛官の身の安全や保障がしっかりと決められてからではないと派遣してはいけないと思ったからです。人道支援のためと言っても、危険な場所ですから」

 志田さん「昨年、世界中で医療救援活動をしている日本のNGOの活動を映像と生の歌で紹介するコンサートを見て、大変感動しました。世界中で困っている多くの人を、もっと大きな力で助けてあげなくてはと考えるようになりました。戦争の被害で苦しんでいる人のために役立つ自衛隊の仕事なら認めてあげてもいいのでは」

 ―今の学生はどう考えているのでしょうか。

 菅江さん「国際政治を学んでいる学生は物事を国単位で見るようになって個人の感情やボランティアの視点が抜け落ちているように感じます。イラク派遣では、憲法を改正して、どの程度、どの範囲で派遣というルールを決めるべきと言うゼミの仲間もいます。米国の戦争に加担しているとの批判もありますが、安全保障を米国に頼っている以上、米国の意向に逆らうのは難しいでしょう」

 村松さん「繰り返しますが、すばらしい憲法です。その憲法は最高法規のはず。でも今は日米安保条約の方が憲法より上位になっています」

 ―自衛隊の存在を憲法で明記すべきだという声もありますが。

 大嶽さん「私もすばらしい憲法だと思います。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重。憲法が描く日本の姿は、まさに国家の理想だと思います。でもこれは周囲の国々も理想的な国家であってこそ成り立つものです。それに対処するために、憲法はもっとシンプルなものにして、理想は理想として掲げておいて、時勢によって変わる具体的なこと、細かなことは他の法律で定めればいいのではと思います」

  

戦いは男の習性?

考え方の性別差

 ―男性中心といわれる憲法論議に対して言いたいことはありますか。

 志田さん「男性の議論に女性が入っていくと、『鼻息荒く』と見られてしまい、なかなか発言できないような雰囲気です。ただ私の場合、憲法を分かっていないためか、戦争の場面を目にすると、憲法がどうのと言うよりも、ただつらいという気持ちだけが先立ち、その場その場で気持ちが揺らいでしまいます」

 菅江さん「男女の違いはあまり感じません。テレビで男性政治家がよく議論していますが、それは単に男性の政治家が多いから。イラクへ行く隊員も男性が多いから、男性中心の議論になるのでは。ゼミも男女半々ずつ。意見を言うのも男性ばかりではありません」

 村松さん「外国から攻められたらどうすると、夫婦でよく話し合います。主人はたとえ話として、もし強盗が入ってきたら必死に抵抗すると言っています。私は主人に抵抗してほしくないと反論します。主人と憲法に関する考えは同じですが、戦おうとするのは男性の習性でしょうか。とはいえイラクに武器を持って入るのは反対です」

 ―村松さんは、銃を持って行くな、と言われましたが。

 大嶽さん「丸腰の民間人が行けるような安全な状態でないことは、ご存じだと思います。ですから自衛官の中の水道屋さんや土木屋さんが、イラクの普通の人たちの生活のために、日本の代表として政府から派遣されているわけです」

 村松さん「大量破壊兵器うんぬんは米国とイラクの問題。やはり自衛隊はイラクに行くべきではありません」

 ―話を元に戻します。男と女では物の考え方が違いますか。

 志田さん「菅江さんの話を聞いても、男女間だけでなく年代によってもだいぶ違ってきているような気がします」

 大嶽さん「男性は相手を打ち負かしたいというような傾向があるように感じます。一部でもいい意見は認め合えばいいのにと思うのですが」

 菅江さん「男性だけでなく女の人にも打ち負かしたい、論破したいという人が大勢います」

 ―どうやら以前より女性が意見を述べやすくなっているようですね。

 村松さん「大変いいことです。昔は女が家から追い出されたら生活ができなかった。男性の意見に『ごもっとも』とひたすら我慢するしかなかったですから。とはいえ女性には女性の特性があります。女性の持っている柔らかさは子育てに欠かせないものです」

 志田さん「女性が強くなりたいというのは男女同権の趣旨と少し違うのでは。男性、女性の特性はそのまま尊重し合えばいいのにと思います」

 菅江さん「私は女性の柔らかさが育児に適しているという感覚を何となく持っていますけど、私の友達はそこが分からないと言います。実際に男性が子どもに愛情を注いで育てた時、何が問題なのかと。私も正直言うと、よく分かりません」



暗記より議論大切

あるべき姿

 ―憲法はどうあるべきか、どう教えるべきか。最後にみなさんの意見をお聞かせください。

 志田さん「とにかく、誰にでも分かりやすい憲法を作ってほしい。憲法は最低限、守らなければならないものが書いてあればいいと思います。暗記中心の学校の授業では、大人になっても言葉で覚えているだけ。教育の場では憲法の基本的な理念をしっかり教えてほしいですね」

 菅江さん「私も暗記する教育を受けてきました。高校生まで詰め込んだことが大学に入った後は、すべて忘れてしまっている。教育の場でも議論の場をもっと設けるべき。そうすれば憲法がもっと身近な存在になるはずです」

 大嶽さん「誰もが憲法を自分のものとして考られるようになったらと思います。変える変えないの前に、まず現行の憲法の制定された経過や憲法そのものを知り、自分の問題として考えていく必要があると思います」

 村松さん「『新しい憲法のはなし』。これは戦後、文部省が中学生でも内容が理解できるように出した本です。戦争放棄の趣旨も分かりやすく書いてあります。朝鮮戦争を境に出すのをやめてしまったようですが、また学校でこの本を学んでくれるといいですね」




■次回(11月28日=日曜日)は「女性が本音で語る日本国憲法」投稿特集
 女性4人による座談会は、打ち解けた雰囲気の中、憲法論議をめぐる男性論、女性論では特に話が盛り上がりました。次回は投稿特集です。座談会「女性が本音で語る日本国憲法」に対する感想や意見をお寄せください。9月から静岡新聞が展開している憲法企画などに寄せられた投稿も併せて紹介する予定です。


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