トークバトル Eメールセッション その他の意見 Eメール投稿規定 紙面バックナンバー


男の育児休業を考える」   投稿特集&インタビュー  (04/12/19)


  父親と2、3歳児を対象にした静岡市女性会館の講座「パパと遊ぼう」。親子体操を通じてスキンシップを図る趣旨で、定員を上回る人気を集めた=静岡市東草深町のアイセル21


 取得が進まない男性の育児休業について考えてきたトークバトルの最終回は、制度整備による負担が大きいとの声もある中小企業の立場や取り組みについて、県中小企業団体中央会に話を聞きました。読者の皆さんからの投稿も併せて紹介します。取得に当たり会社から圧力をかけられたという男性の経験談や、父親も育児を楽しんでほしいという女性の声、夫婦の分業は残すべきではないかという意見も寄せられました。

email 大企業でも理解されず

 娘の育児のために会社を休職しました。従業員は三千人以上なのですが、男性の育児休暇は労働組合の規約にはあるものの、申請書式すらなかった状態でした。

 男性の取得は私が最初で最後になるでしょう。査定が異常に悪くなりました。昨年度のリストラ実施時には声も掛かり、反会社的な行動者は要らないなどとも言われました。リストラにはなりませんでしたが、その後の面接時には、今後同様な休暇を取るようなら、対応を考えると脅しもありました。今後は労働組合の権利を主張するような行動は慎むようにとも言われました。

 社会に貢献しているのだから認めてと言っても、会社には不利益でしかないとも断言されます。法的な整備が進むとしても、きっと抜け穴だらけとなるでしょうし、会社としては利益追求を優先しますので、その場で働く労働者には育児休職させないような働きがきっと存在するようになるでしょう。

 最後に法的整備を進めるに当たり、今の世の中、家の中でもできる仕事が十分にあります。私の場合も、結局、休職期間でも、携帯電話やらパソコンなどで仕事の手配をしてきました。まったく仕事を休むのではなく、補填的な仕事も出来るはずです。そういう労働対価も考慮してほしいです。

(県中部、匿名希望、会社員)

letter 家庭生活は分業が自然

 「男の育児休業を考える」という設問の目的は何でしょうか。日本の出生率を上げなければ人口の減少が始まり国の存在にも関わってくるから、少なくとも人口維持できる線まで出生率を上げるよう、負担の多い女性の出産の応援をしなければという遠大な戦術の一つとして男性の育児を促す配慮であれば、肯定的にとらえることにやぶさかではない。しかし、夫婦による家庭生活の分業が壊されることは否定できない。

 男性は、円満な家庭生活を維持するために、稼ぐことに専念しなければならない。企業内のある部門の責任を負わせられるケースが多いが、これをやり抜くことに、人生をかけている男性は多い。そんな男性だから大きな報酬を払っている企業体の事情と、責任ある仕事を体を張ってやり抜く男の生きがいの素晴らしさに、企業の未来が、あるいは日本の未来がかかっているケースだって、少なくはない。

 社会制度として男性の育児休暇を考えなくても、私の娘の夫婦を見ると、夫も子どもがかわいくて自分ができる世話を自分の意思で率先して行っている。企業での勤務も変わらずに精勤だ。これが自然の成り行きなのだ。「育児休暇」なんて不自然だ。優しい夫なら率先して育児の世話を自然体で行うものだ。最近の男性はそれだけ優しくなっていることを忘れてはいけない。

(藤枝市、宮崎加平、69歳、元地域活性化アドバイザー)

lemail  
  

 産前・産後六週間の産休だけが認められていた時代に、二人の子供を産み育てて仕事を続けていた私にとって育児休暇一年、さらに男の育児休業を考える今の時代は夢のようです。女性が働くことが普通になっている今と違って、子供が問題を起こすと共稼ぎだからとか、特に母親が働いているからと責任と非難が母親に向けられていました。

 私は、幸いなことに周囲の方々に助けられて育児と仕事の両立ができました。特に子供の世話をしてくださった知人の家庭の温かさに触れながら、子供たちも私たち夫婦も成長できました。子育ては一年で終わるのではありません。むしろ一歳を過ぎてから病気になったり、けがが多くなったりして突然の休みが欲しくなります。また子供の自我が芽生えて意思もはっきりしてきます。そんなときに必要な親子の触れ合い、精神面での支えに時間が欲しい時も出てくるでしょう。

 産休には出産という大役を終えた女性の体の回復と子供のいる生活に慣れるという意味があったと考えられますが、育児休業は育児のための休業です。育児には心と心の触れ合いが不可欠です。ただ洗濯をして食事を食べさせて、時間だけを過ごすものではないと思います。子供を育てるために必要な時を過ごす休みなのだと考えてほしいのです。

 女性が働くこと、特に母親が働くことは大変ですが、とても大切なことだと思います。周りの方々の理解を得て働くこと、育児ができることの幸せを夫婦で感じながら素晴らしい子育てをしてください。

(福田町、中村克子、67歳)

email

 男性の育児休暇は随分前から、話題になっていますね。でも残念ながら積極的に利用していないようです。  女性でも育児休暇で仕事の中断をちゅうちょする現在です。将来のことを考えたら、男性が休暇を取ることはいろいろ難しいのかもしれません。会社側の都合や周りの人の理解など大きな壁が感じられますね。

 でもね、育児って毎日変化が見られるし、ものすごくやりがいがあることです。どうしてこの充実したそして短い期間を楽しもうとしないのでしょう。

 父親が小さいときの子育てに関わっていれば、成長期の大変な問題も理解できることが増えると思うのです。若いお父さん、勇気を出して育児休暇を味わってください。

(静岡市、ベテラン主婦)


 県中小企業団体中央会事務局長
山口 正蔵氏
やまぐち・しょうぞう氏 静岡市出身。昭和46年、県中小企業団体中央会入会。同沼津事務所長、指導統括部長などを経て、平成16年4月から現職。57歳
県内 女性すら取得まれ

 ――県内の中小企業では、育児休業はどのくらい浸透しているのでしょうか。

 「会員の企業八百社を対象にした平成十五年度のアンケート調査によると、育児休業制度を整備している企業は半数を下回る43・4%でした。育児休業を実際に取得した社員がいる企業は6・3%、取得した人は二十六人で、内訳は女性二十五人、男性一人。女性の育児休業さえ、まだまだ浸透していません」

 ―何が壁になっているのでしょうか。

 「中小企業の置かれている状況は厳しい。人材の多い大企業なら、休業者の仕事を補うことも可能かもしれないが、数人の企業では別に人を確保しなくては難しい。一人いなくなれば製造ラインが止まってしまうようなところもある。一方で厳しい経済状況の中、効率化を求められ、いてもいなくてもやっていけるなら、人を減らしたいという状況です。取得する側にも、半年も一年も休んで戻る場所があるのかという不安もあるでしょう」

 ―業種による違いはありますか。

 「県の統計を見ると、育児休業を取る人が多いのは、サービス業や金融・保険業など。大手が多いこともあり、比較的取得しやすいのではないかと思います。一方で建設業や運輸・通信業などは取得者が少ない。中小が多く、重労働だったり、特殊な技術が必要だったりして、仕事の穴を埋めるのが難しいのでしょう」

 ―従業員三百一人以上の企業には来年度から、育児休業取得率の目標値なども含む子育て環境整備のための行動計画策定が義務付けられます。

 「中央会会員の企業はほとんどが従業員三百人以下なので、対象企業は少ないですが、できる範囲で努力をしていくべきだと考えています。全国中小企業団体中央会では、厚労省の作成した行動計画マニュアルを基に、中小企業を対象にしたモデル計画の作成を検討中で、本年度中にはたたき台ができる見込みです。将来的には県内でも説明会を開くなどして、普及啓発をしていきたい思っています」

 ―具体的に、中小企業にはどのようなことが可能でしょうか。

 「OBを短期間雇い、補充するのは一つの方法ではないかと考えます。高齢者の能力活用の側面からも意味があります。休業者への保障として給与の40%を払ったとして、OBならば、残り60%で働いてもらうことはかなり現実的ではないかと思います。企業の中だけでなく、人材派遣会社やシルバー人材センターなども活用し、外の人材を積極的に使うことが求められるでしょう」

 ―取得率を上げるには義務化するしかないという声もあります。

 「法律でがんじがらめにするのは、反発も大きいと思います。少子化の抑制につながるといったことだけでなく、企業自身がメリットを見いださないと難しい。育児休業を取りやすい環境を整えることは、効率良く仕事ができているか、企業の経営や組織を見直すきっかけになり得る。そういうメリットについて、経営者の間に理解を広めることも大事です。また、現在の中小企業の経営者世代は、まだまだ育児は女性のものという意識が強い。世代交代が進めば、意識も変わってくるという期待はあります」



■次回(12月26日=日曜日)は「2004年を表す言葉」投稿特集

 次回のトークバトルは今年最後に当たり、読者の皆さんから募集した「2004年を表す言葉」を特集します。台風や豪雨、地震など自然災害が多発した「災」の1年であるとともに、アテネ五輪、浜名湖花博、韓流ブーム、プロ野球のストと再編などニュース、話題に事欠かない1年でした。あなたにとっての2004年を表す漢字や四字熟語、創作熟語を募集しています。形式は自由です。簡単な理由を添えてください。


トークバトル表紙へ

ページトップへ
Copyright2002 The Shizuoka Shimbun. All rights reserved.