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| 「携帯電話はベストフレンド?」 インタビュー (05/03/06) |
| 子供から高齢者にまで幅広く使われ、今や多くの人にとって、日常生活に欠かせない存在となった携帯電話。日本の普及率は7割に迫る勢いです。さまざまな可能性を持つ情報通信機器として進化し、生活を便利にしてくれる一方で、「携帯依存」や迷惑通信、不正利用の問題も表面化しています。わたしたちと「ケータイ」の現在、未来を考えるトークバトルの第1回は、NTTドコモの担当者に現在のサービスや将来の可能性、社会学の研究者に普及によるコミュニケーションの変化などについてそれぞれ聞きました。 |
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―日本の携帯電話普及の特徴は、どんなところにありますか。 「インターネットやカメラなど、通話以外の機能を使う携帯電話がこれほど普及しているのは日本だけ。要因の1つには、ポケベルやプリクラなど、携帯電話が普及する以前にあった女子高生の文化があります。メッセージを送り合ったり、写真を撮って保存したりするのに、より使い勝手のいい道具として広く受け入れられたことが、爆発的な普及を支えてきた一因と言えるでしょう」 ―他の要因はどうでしょうか。 「日本独特の携帯電話業界の構造も、多機能携帯の普及を支える一因になっています。日本の携帯電話業界は電話会社主導で、サービス契約はすべて電話会社が取り仕切っている。利用者はインターネット事業者などと個々に契約する必要がなく、携帯電話を買った瞬間からサービスを利用できます。欧米では端末メーカーが有力で、多岐にわたるサービスを利用しようとすると契約関係が複雑になります」 ―携帯電話の普及でコミュニケーションはどう変わってきたのでしょうか。 「コミュニケーションは加速化、複雑化しています。例えば、カップルがデートして、男の子が女の子を家まで送ってきたとします。携帯電話が普及する以前なら、男の子が家に戻ってから電話で話すくらいだったのが、今では別れた瞬間から携帯メールのやりとりが始まる。親密になる時は急速に親密になるし、逆に、悪くなる時は徹底的に悪くなる。頭を冷やす時間がない」 ―コミュニケーションの複雑化とはどういうことですか。 「佐世保の小六女児事件は、インターネットのウェブサイト上で友達同士の関係がこじれたと伝えられています。携帯メールなどもそうですが、言葉が瞬時に伝わり、深く考えたり、周りが割って入ったりするフォローができにくい。また、発信源があいまいな情報が広く流れたりする。デリケートになり、ささいなことにも過剰に反応してしまうことも考えられる」―直接向き合うことが減り、人間関係が希薄になると懸念する声もあります。 「いつでも個人につながる携帯電話を持つことで、希薄になるどころか、人間関係はむしろ緊密になっています。そして、その距離の近さが、新しい不安を生んでいる一面もある。いつでもつながるという安心感の半面、それが有効に機能しないと、必要以上の不安が生まれます。つながるはずなのにつながらない、という不安感です。また、まめに連絡を取らなければ輪から外れてしまうというストレスもあるでしょう」 ―誤解や不安、トラブルを招かないために、何が必要でしょうか。 「携帯だけに頼らず、違うコミュニケーションの手段を確保しておくことです。携帯はあくまでたくさんあるコミュニケーションの道具の1つ。伝えられる情報に限界もあります。その限界やリスクを見極め、自覚して使うことが大事です」 ―防犯や非行防止の意味も含め、ますます小さな子供が携帯電話を持つようになっています。 「奈良の小一女児殺害事件を見ても分かるように、携帯電話を持たせることで犯罪そのものを止めることはできません。同様に、子供の非行を止めることも難しい。親は持たせて安心するかもしれませんが、子供にとっては監視されているという不快感から、かえって親子の語らいが損なわれることもあり得る。非行を防ぐ目的なら、携帯電話を持たせるより、きちんとした親子関係をつくることが先決でしょう」 ―子供に携帯電話を持たせるべきではないのでしょうか。 「ある程度の年齢、例えば中学生くらいになれば、否定されるべきことではないと思います。問題は与えっぱなしにすることです。どう使わせるかは大人がきちんと考えなくてはいけない。携帯電話の使い方は世代間のギャップも大きく、子供に対して、生活のすべとしての携帯電話をどう使うかはほとんど教えられていない。学校に持ち込ませないとか、持たせないというのは、現実的な対策ではない。どういうリスクがあるのかをきちんと教えていかなければ」 |
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―携帯電話がここまで急速に普及した要因は何でしょうか。 「ビジネスでの利用を想定した初期のアナログ式携帯電話は通話料金が高く、電話機はレンタルでした。1990年代に入って現在の携帯電話の原型を開発。1個人が購入できるようになり、機種も増えました。加えて通話料金の値下げが進んだことで、一般利用者の購入が一気に増加しました。また、インターネットの普及や、呼び出し用だったポケベルが女子高生を中心にはやったことも携帯電話の普及につながったと思います」 ―インターネット機能を搭載した携帯電話のヒットもありますね。 「本社の『iモード』の開発で単なる音声の電話から、メールやウェブでの情報検索ができるようになりました。『音声インフラからITインフラになった』とも言われます。海外ではヨーロッパや台湾、オーストラリアなど、二十二の国と地域で、現地の通信事業者との提携で、iモードが利用されています。また、日本のiモードも専用の携帯電話であれば、海外でも見ることができます。アテネ五輪では、基地局を現地に設置し、観光客から日本のニュースが見られると好評でした」 ―日本の携帯電話普及率は03年現在、68%ですが、海外では携帯電話はどのように普及しているでしょうか。 「台湾ではプリペイド式の利用が多く、普及率は100%を超えています。ヨーロッパは、以前からメールに似た『ショートメッセージサービス』が普及し、海外でも着信メロディーやゲーム付きの携帯電話は売られています。インターネットが普及している北欧や韓国など、日本以外にも開発が進んでいる国はありますね」 ―市販されている携帯電話は若者をターゲットにした多機能付きのものが多いようですが。 「機能盛りだくさんの携帯もあれば、機能を絞ったシンプルなものもあります。高度な技術を追うだけでは利用者には受け入れられません。常に利用者に合わせた使いやすい携帯が求められていると思います。ユニバーサルデザインを考え、ボタンが大きくて押しやすく、音声案内をする携帯電話や、電話本体の色とボタンの色を変え、見やすくしたものもあります」 ―迷惑メールやマナー対策については。 「これだけ急速に携帯電話が浸透し、身近な存在になってくると、迷惑メールや有害サイトなど、陰の側面が出てきたり、また、利用する側のマナーが追い付いていかない部分もあります。迷惑メール対策については、受信しなくても済むような処理をしたり、悪質な場合はドコモ側から業者との契約解除したりして取り組んでいます。対策はいたちごっこに近いですが、継続していかなければいけません。利用者にも、迷惑メールや架空請求の対処法を説明した冊子を提供しています。マナー対策については、電車内でのマナーや『(本の中身をカメラで撮る)デジタル万引』の禁止など、CMやホームページなどを通して呼び掛けています」 ―将来、携帯電話はどうなっていくでしょうか。 「携帯電話は手軽さがコンセプト。常に持ち歩いているため近い将来、生活に密着した部分でサービスが広がっていくのでは。すでに電子マネー機能をはじめ、マンションの鍵、店の会員証、オフィスに入る時の認証代わりに使えるようになっています。また、一般の方でもiモードに参加できるように技術を公開していますし、『うちの店でも電子マネーを使いたい』という方もノウハウがあれば電子マネーの利用が可能です。今後は『携帯電話ひとつでなんでもできる』時代に近づき、携帯電話を1つの『プラットホーム』として、生活やビジネスでの活用がさらに広がっていくと考えています。将来的には、移動通信分野に飛躍し、高速で映像や音声をつなげて立体的に遠隔診断したり、腕時計型といった超小型の端末で世界中でテレビ電話ができたりなど、多様な可能性を秘めています」 |
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| ■次回(3月13日=日曜日)は「携帯電話はベストフレンド?」シンポジウム特集
インタビューはいかがでしたか。携帯電話は、ますます生活に密着し、便利になっていくようです。他方で、岡田助教授からは、普及に伴う新たな不安やストレスについての指摘もありました。みなさんは普段、何を考え、何を感じながら携帯電話を使っていますか。感想、ご意見、体験談をぜひお寄せください。次回は5日に東京で開かれたシンポジウム「モバイル社会の生活の質と安全」の内容を紹介し、災害時の携帯メディア活用や不正利用の防止など、携帯電話をめぐる現在の課題を考えます。 |